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【サッカー】

3禁交代で首位だ U−23きょうマレーシア戦

2012年2月22日 紙面から

マレーシア戦に向け練習する杉本(右)と酒井=シンガポール(共同)

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 【クアラルンプール松岡祐司、丹村智子】ロンドン五輪アジア最終予選C組第5戦で、U−23日本代表は22日午後9時(日本時間同10時)からブキットジャリル競技場で同マレーシア代表戦に臨む。1位のシリアと勝ち点、得失点差で並びながら総得点で1点下回って2位。勝利と同時に大量得点が焦点とされている大一番で、ゴールへの意識が逆効果とならないよう、「3つの禁止令」が出された。チームは21日、事前合宿地のシンガポールから現地入りした。

 声高に叫ばれる、「大量点が必要」という大合唱。ただ、「大量点を取って勝つ、といって大量点を取って勝ったチームはあまり見たことがない」。そんなGK権田(FC東京)の言葉は、まさにサッカーの真理を突いている。過剰な得点への意識が反作用となり、時間の経過とともに焦りへと連鎖して自滅する。そうなっては本末転倒だ。

 シリアとの「得失点差」は頭の片隅に置きつつ、見据えるのは眼前の対マレーシア。好機の着実な積み重ねが、「大勝」への突破口になる。21日昼、クアラルンプールの宿舎内で選手ミーティングが開かれ、平常心を保つよう「3つの禁止令」が発布された。その3つとは「ゴールよりまずは守備重視」「ガツガツと前へ行くな」「シュートを1本外して消沈するな」だ。

 五輪出場が消滅したマレーシアはホームの大声援を背に受け、「攻撃への圧力を高めてくるかもしれない」(権田)。そこで失点しては元も子もない。MF山村(鹿島)は「得点、得点と頭で考えすぎない方が良い。まずは失点しないことを考えて」と言えば、DF鈴木(新潟)は「まずは安定した守備でリズムをつくる」と、あえて守備意識の重要性を強調した。

 両者の力関係からすれば、試合の主導権は必ず握れるだろう。ならば、慌てる必要はない。早い時間で「ハリマオ・ムダ(若き虎)」の息の根を止めたいところだが、鈴木は「(大量点のために)最初からガツガツ前へ行くのではなく、支配しながらチャンスを決めればいい」。支配率を高めながら隙を狙って突く。強さに備わるはずの冷静さを、攻撃陣に求めた。

 昨年9月のホームでのマレーシア戦(ベアスタ)では、シュート計26本を浴びせながら、奪ったのはわずか2点。ミスを重ねて、消沈と焦りの「負のサイクル」にどっぷりはまった。好機を待ち続け、辛抱強く集中力を維持することがカギを握るだけに、山村は「ミスをしても、自信を持ってやることが大事」と呼び掛け、MF原口(浦和)は「たとえ1本外しても、次は決めるという強いメンタルでやる」、GK権田は「1つのミスに一喜一憂しない」と、泰然自若の精神を説いた。

 約8万人収容の試合会場での最終調整は、重圧と緊張の糸が巧妙に絡み合った。それも、大一番だからこそ。シリア追撃への「3禁令」を順守しながら、最後はFW永井(名古屋)が「走って走って突き刺すだけ」。かすみかけた「五輪切符」は、自力で取り戻すしかない。

 

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