中国・南京市政府は21日、名古屋市の河村たかし市長が「南京事件というのはなかったのではないか」と発言したことを受け、両市間の公の交流を当面停止すると発表した。南京市外事弁公室のスポークスマンは「虐殺の史実を否定する(河村市長の)発言は、南京市民の感情を著しく害した」と非難した。
河村市長は20日、姉妹友好都市である南京市の共産党市委員会の常務委員ら訪日代表団の表敬訪問を受けたとき、「一般的な戦闘行為はあった」としながら、旧日本軍による虐殺を否定するような発言をした。訪日代表団はその後、「河村市長の言論は無責任であり、歴史をねじ曲げ、南京の人びとを尊重する気持ちが欠けている」と非難。
河村市長が南京事件後に現地に駐屯した父親が優しくもてなされたことを理由に挙げたことについて、南京大虐殺記念館の朱成山館長は「個人的経験に基づいて歴史を主観的に臆測することは極めて不謹慎だ」と批判するなど、南京で反発が広がっていた。(上海=奥寺淳)