06年の第1次上告審判決は永山判決に比べ、少年事件でより厳しい死刑基準を適用しており、今回の判決も死刑の考慮要素は変わっていない。多数意見はまさに予想通りの判断で、今後もこの基準で死刑判断をしていく方向は変わらないだろう。反対意見が付いたのは意外だが、精神的成熟度が18歳を相当程度下回っている場合には死刑回避の事情となるというのは具体的根拠を欠き、補足意見の方が説得力があるように思われる。
第1次上告審判決は「死刑を回避するに足りる特に酌量すべき事情が認められない」と高裁に差し戻したが、今回の判決は元少年の「特に酌量すべき事情」の有無がどう検討されたかが具体的に書かれていない。なぜ死刑になるのか分からず、肩すかしの判決だ。また補足意見は「18歳程度の精神的成熟度を判断する客観的基準はない」としたが、実質的に見て成人より精神的成熟度が劣っているかが問題であるから、この点も的外れと言える。
毎日新聞 2012年2月21日 東京朝刊