単独カウンターでマレーシア守備陣を切り裂く!!ピッチ状態を確認するようにドリブルするMF原口=シンガポールで(松岡祐司撮影)
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【シンガポール松岡祐司】U−23日本代表のMF原口元気(20)=浦和=が20日、一撃必殺の「単騎カウンター」でマレーシアを攻略すると宣言した。ロンドン五輪アジア最終予選第5戦のマレーシア戦(22日・クアラルンプール)に向け、原口は従来の組織プレーを基本としつつも、単独突破で守備網を突き崩す必要性を説いた。C組1位のシリア追撃へ、チーム最年少のA代表経験者が単身突撃で「大勝」の口火を切る。
口調は穏やかだが、眼光はギラギラと殺気立っていた。亜熱帯特有のシンガポールの熱気に負けじと、原口の闘争本能もヒートアップした。
「貪欲に行く。チャンスだけつくっても意味がないんで、自分自身もゴールを決められるようにやりたい」
前戦のシリア戦は招集されず、テレビ越しに仲間たちを応援した。しかし、祈りは届かない。衝撃的な敗戦を見届けると、なすすべのない自らのふがいなさを責め、無力感に心で涙した。
ただ、ピッチに立つ権利を与えられた今は違う。最年少であっても、5カ月ぶりの招集であっても、心から勝利にこだわるから、言うべきことは言う。
「このチームはうまいけど、強引さ、強引に行くところが足りない」。大一番直前にあえて問題点を指摘した。勢いがあるとき、流れが良いときはいいが、チームが傾いたときに、うまさがもろさ、危うさとなって跳ね返ってくる。美しいパス攻撃への傾注こそが弱点だったと主張した。
状況は断崖絶壁だ。ならば、パスサッカーを捨ててでも泥くさく奪いに行く。守備陣形が整う前なら、なおさら迷いなく単独カウンターを発動する。相手の弱点を突く好機をみすみす手放すわけにはいかない。そんな勇気と強い覚悟を、原口は持っている。
「(パス重視の)チームに合わせながら、自分の良さ、自分の特長を組み合わせることが重要だと思う。ただ、ずっと合わせていても、チャンスメークだけで終わっちゃうんで。前を向いてスペースがあればすべて仕掛ける。思い切りの良さを自分が出していきたい」
今月上旬、小学生時代にプレーしていた少年団を訪れ、原口は後輩たちにこんな助言を送った。
「もっと、わがままにプレーしろ。もっと、自分で仕掛けろ。そうしないと何も始まらないぞ」
原口が単身突撃で突破口を切り開き、そっぽを向いた「勝利の女神」を力ずくで振り向かせる。
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