「自宅には十分耐震性があったのですが、隣に149mのビルがあり、我が家のほうに倒れてくる恐れがあると感じていたのです」
自宅の建物自体の安全性は自治体などが勧める耐震診断を受けて確認するのが一番だが、およその判断基準は建築年代。'81年以前の建築は耐震基準が大幅に緩かったため、倒壊などの危険もある。
次にチェックするのが室内の安全性。特に必須なのが、ガラスの飛散防止と大型家具の固定だ。防災の専門家たちは自宅の家具に嵌め込まれたガラスや窓ガラスに飛散防止フィルムを貼っていると口を揃える。
家具の転倒防止用には天井と家具の間に突っ張って固定するタイプの器具がよく販売されているが、これだけでは不十分と指摘するのは、まちづくり計画研究所の渡辺実所長だ。
「突っ張り型の転倒防止器具は、直下型の大地震だと下から突き上げられて天井を突き破ったり、高さ調節用のネジが折れてはずれたりします」
完全に固定するには壁にネジ釘などで止めるのが最も確実。だが渡辺氏は「下手に止めても、揺れで壁ごとはがれて倒れてくることもある」と指摘する。東京大学地震研究所の古村孝志教授は3・11後に、工務店に頼んで自宅の書架などを壁に固定してもらったと話す。
「忙しいのに『自分がやらねば父親の沽券に関わる』などと言って後回しにせず、プロに頼むのが一番です」
失血死を防ぐ救急箱
家の中にはどんな備品を用意しているか。災害時危機管理と防災が専門の中林一樹明治大学特任教授は、まず「丈夫な靴」を挙げる。
「手なら片方にケガしても、もう一方を使える。でも足は片方でも大ケガをしたら歩けない。頭や急所の次に大切な部位なのです。必要なのは、ガラスや食器の破片が散乱していても歩き回れる底の厚い靴。我が家では使い古しのスニーカーもすぐには捨てず寝室に置いています」
非常用のものは邪魔だからといって納戸にしまいこんでも意味がない。中林氏は靴やメガネなどの必需品を入れた袋やヘルメットをベッドの支柱にくくりつけている。
「人それぞれに必需品がある。私のように目の悪い人はメガネが欠かせないし、高齢者は入れ歯がないと食料が食べられなかったりする。これらをあちこちに置いておくと地震でどこかにぶっ飛んで探せません。ひとまとめにして袋などに入れておくことが重要です」
一方、前出の国崎氏が見直したのは救急箱の中身だ。
「巨大地震がきたら、自分も家族も必ずケガをする。傷口からドクドク血が流れているのに、風邪薬や胃薬、絆創膏しか入っていない救急箱では意味がない。『消毒をして、ガーゼを当てて、包帯を巻いて・・・』などとやっていたら失血死してしまう。私が用意しているのは貼るだけで誰にでも止血ができるシート状の『止血パッド』。市販されているので、家族の人数分を常備しています。あとは消毒用エタノール、ピンセット、滅菌ガーゼ、三角巾。これだけあれば応急処置は素人でもできます」
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