GK楢崎(左端)らと笑顔で話すストイコビッチ監督(中央)=実相寺サッカー競技場で(佐伯友章撮影)
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名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(46)が19日、キャンプ先の大分県別府市内の宿舎で会見し、今季はJリーグのタイトル奪還を最優先にして戦う考えを示した。3月のJリーグ開幕以降はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)も並行して戦うことになるが、観客数などを理由にJリーグの方を重視すると持論を展開。5年目のピクシー政権は、まずJ制覇へ全力を注ぐ。
親日家のピクシーが「二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず」のことわざを知っているかどうか。会見でJとACLの両立について問われると、ストイコビッチ監督が一気にヒートアップした。「私は24時間Jリーグのことを考えている。ACLはまた別の大会だ。ACLは日本以外でやる大会なんだ」。J最優先を断言した。
JとACLに明らかな“格差”をつけたのには、ストイコビッチ監督なりの理由がある。一つ目は過密日程とアウェーの移動の厳しさ。「ACLで受け入れがたいのは移動距離の長さ。睡眠が取れず、時差もある。帰国した翌日に(Jリーグのため)広島や大宮へ移動し、フレッシュなチームと戦わなければならない。怒りを感じる部分だ」と語った。
現状ではファンの注目度もJリーグの方が上回る。昨季のグランパスの場合、豊田スタジアムでのホームゲームでは2万人を超える観客が集まったが、ACLのホーム3試合の平均観客数は約9000人ほど。「空席の多いスタジアムでは正直言って緊張感が生まれてこない。ACLにヨーロッパのチャンピオンズリーグと同じ価値はない。これが私の意見だ」とまくしたてた。
アジア制覇を狙うというスタンスは不変。「ベストを尽くす責任があるし、選手にはACLとJリーグ両方で100%の力を出してほしい」と言う。それでもJ優先を明言したのは、2つの大会の掛け持ちに苦しんでリーグ序盤で出遅れ、結果的にJ制覇に届かなかった昨季の悔しさがあるからだろう。
現状ではFWケネディ、MF小川らがコンディションにやや不安を抱えており、状況次第で指揮官が選手を使い分ける事態が出てくるかもしれない。いずれにしても、ピクシーが一番に目指すのはJの頂点だ。 (木村尚公)
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