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【社会】

歴史30年 葛飾区立「あだたら」  福島の移動教室 線量高く廃止へ

 東京都葛飾区は、区立中学二年生が毎年、移動教室で訪れていた福島県二本松市の区宿泊施設「あだたら高原学園」を廃止する方針を決めた。福島第一原発事故後は休止中で、再開見通しが立たないなどの理由。二十一日に開会する区議会定例会に関係条例の改正案を提出する。三十年以上続いた福島での移動教室が幕を下ろす。 (伊東浩一)

 あだたら高原学園は区が一九七七年に整備した。安達太良(あだたら)山(一、七〇〇メートル)のふもとにあり、ここで中二生徒が二泊しながら、夏は登山、冬はスキーをする移動教室が恒例となっていた。教室のない時期は、区民が避暑やキャンプなどに利用していた。

 しかし、東日本大震災直後、従業員が出勤できないなどの理由で休止。その後、周辺で高い空間放射線量が検出され、昨年十一月の測定でも葛飾区内の二〜三倍の値だった。昨年の移動教室は長野県などに行き先を変更。一般の利用申し込みも受け付けず、震災被災者の避難所となったほかは、ほとんど使われていなかった。

 区教委が昨年十〜十二月に対応を検討。福島第一原発から約七十キロの位置にあり、いつ放射線量が低くなるか分からず、建物の老朽化や耐震強度不足で大掛かりな改修も必要なことなどから、ここでの移動教室の継続を断念した。

 新年度の移動教室は関東甲信越地方の民間宿泊施設を利用する予定。二〇一三年度以降の行き先はこれから本格協議する。学園の施設については譲渡先を探すという。

 区教委施設課は「あだたら高原学園への移動教室は中学の伝統行事。寂しい思いはあるが、放射線を心配する保護者の声や経費の問題などから総合的に判断した」としている。

 

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