‐最近の水戸黄門は、だいぶ現代の雰囲気に合わせた作品になっているのかと思うのですが。
「僕自身は、その意識はまったくないんです。どちらかというと、東野さんよりももっと、月形先生に追いつきたいような、本当の時代劇の所作事をしっかり身につけたもののふがやっているというようにやりたいと思って演じているんですが、それでも、先ほど話した映画を見ていて、やはりちょっと古いな、大時代だなというのを感じるというのは、僕もそれより現代的な芝居をやっているのかなと。それはそれで、時代劇のにおいを消さない程度の、現代の人の心を打ちやすい芝居じゃないといけないなと思っているんですね」
‐時代劇自体が下火になってきた理由というのはどうお考えですか。
「今回、水戸黄門に終わりがきたということについて、なぜ終わるんだという声がいっぱい上がってるんですよね。スポンサーさんも、どう対処したらいいのかという思いになっているようなんですが、時代劇を見たいと思っている方はたくさんいるんです。ただ、コストの問題が絡んでくるんですね。全体的に経済状況が悪い時代、例えば、現代劇が1000円で作れるとしたら、時代劇は5000円かかる。さらに、視聴率を上げなきゃいけないというしがらみの中で、予算はどうしても絞られる。同じ10%の視聴率なら、5000円かけて撮るより1000円で…という考え方がどうしても経済界においては出てきてしまいますね。でも、時代劇が好きな人、見たい人はまだたくさんいるし、日本の文化を若い人たちに教えていく、知らせていくための時代劇がなくなっていくことは残念に思いますね」
‐そもそも、里見さんが俳優を目指されたきっかけは。
「僕はもともと歌が好きで、歌手になりたくて東京に出たんですけども、東京に出て1年の間にいろんな人に出会いましてね、一期一会というか、出会った方とのお付き合いの大切さを、芸能生活55年の中で感じるのは、出会った人たちがすべて自分の味方というか、本当に手を引っ張ってお尻を押してくれたことが多かった。本当に幸せな人間だなと思っているんですが、今そういう考えをもっているということは、若いときに、ボストンバッグ1個持って東京に出たころに出会った人たちが、自然と僕を役者の道に導いたんだと思うんです。歌い手になりたくて、歌の勉強をしているうちに、多くの出会いによって俳優の道に転換していった。そして、東映の京都の撮影所でいろいろ勉強しているうちに、小さな役から3本目、4本目には主演作品も撮るようになって、そしたら主題歌もついてきて、自分の夢であった歌も歌えるようになったという、盆と正月が一緒に来たような感じで、順風満帆に55年芸能生活をやらせてもらったような気がします。これまでに携わってもらった方、今携わってもらっている方、すべてに感謝したいですね。アクシデントもあったんですよ。事務所とケンカしたり、事務所と局がケンカしたり…。でもそれが、後になってすべて好転したんですね」
‐具体的には、どのようなアクシデントが。
「大した事件はないんですが、例えばある時、テレビ局同士で里見浩太朗の“取り合い”をしたことがあって、テレ朝から日テレに番組が移ったんです。それによって、日テレ系で5年続いた年末の時代劇スペシャルができたんです。『忠臣蔵』から始まって、『白虎隊』、『田原坂』、『五稜郭』、『風林火山』、『樅の木は残った』。こんな大きな作品をすべてやった俳優は誰もいないんですよ。時代劇役者にとって、こんなラッキーなことはなかったと思います」
‐時代劇を中心にしながら、現代劇も演じられてますが、その演じ分けというのは。
「それはありますね。芝居自体の気持ちの持って行き方は同じなんですが、時代劇には独特の“魅せる”という部分があるんですね。現代劇は、ある程度視聴者が自由に解釈してくれるところがあるんですが、時代劇には、歌舞伎で言う『見得』の部分があるんです。それをやることによって、その人間が格好良く、強く見える。そういうテクニックがあるんですね。それがまた、気持ちがいいんです」
【3に続く】
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