犯行が残虐で結果が重大であれば、年齢は死刑適用を避ける決定的な要因ではない。未成年者が起こした重大な犯罪について、司法が改めて厳しい姿勢を示した。
1999年に起きた山口県光市母子殺害事件で、殺人などの罪に問われ、差し戻し控訴審判決で死刑とされた元少年に対する、差し戻し上告審判決が出た。
最高裁は「犯行は甚だ悪質で、動機や経緯に酌量の余地はない」「少年だったことを考慮しても刑事責任はあまりに重大だ」と指摘し、被告側の上告を棄却した。元少年の死刑が確定する。
元少年は犯行当時、死刑適用が認められる満18歳になって1カ月だった。最高裁が83年に示した死刑の適用基準(永山基準)は考慮すべき事情に年齢をあげている。
この事件でも、一、二審は年齢や更生可能性を理由に無期懲役を選択した。だが、最高裁はこれを破棄して、審理を広島高裁に差し戻した。今回の上告審判決も、厳罰化を求める世論の高まりや遺族感情に沿った判決だといえる。
永山基準以降、死亡被害者2人の事件で少年の死刑が確定するのは初めてのことだ。永山基準を緩め、一段の厳罰化を促すものであり妥当だとする見方もある。
しかし、今回の判決でも少年に死刑を適用する難しさは浮き彫りになった。判決に関わった4人の裁判官のうち、宮川光治裁判官は「死刑判決を破棄し、改めて審理を高裁に差し戻すべきだ」との、死刑判決では極めて異例となる反対意見を述べた。「年齢に比べ精神的成熟度が低く幼い状態だったとうかがわれ、死刑回避の事情に該当し得る」との理由からだ。
結局は、一つ一つの事件を慎重に検討していくしかないということである。
光市事件は現在であれば裁判員裁判の対象となる。仙台地裁では2010年、裁判員裁判で犯行当時18歳の少年に死刑判決を言い渡した。少年の精神の未熟さや更生の可能性を見極めるという、プロの裁判官でも難しい判断を市民が行う時代になっている。
しかも裁判員裁判は短期間での審理を目指す制度だ。その中で少年の成育環境や、それが犯行に及ぼした影響、更生できるかなどを判断しなければならないのだ。
少年への刑罰はどうあるべきなのか。裁判員時代における、私たち一人ひとりの問題として考え続けていかなければならない。
少年
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