(CNN) 約30年ぶりに新規の原子力発電所建設が認可された米国で、東京電力福島第一原発と同じ型の格納容器を採用した原発に対する不安が再燃している。
問題にされているのは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が設計した「マークⅠ型」と呼ばれる原子炉格納容器。米国内の23の原子炉で使われており、このうちバーモント州のバーモント・ヤンキー原発では、稼働継続をめぐって州当局と米原子力規制委員会(NRC)の対立が続く。
GEでは、マークⅠ型は40年以上にわたって安全に運用されてきたと強調し、規制変更に対応して定期的な変更も行ってきたと説明。どのような原発であっても、津波に襲われて冷却システムの電源が一定時間失われれば、メルトダウン(炉心溶融)は避けられなかったと主張している。
マークⅠ型をめぐっては、原子力委員会(当時)の専門家、スティーブン・ハナウアー氏が1971年に危険性を指摘したのに対し、NRCは78年、この設計は安全だと認定。しかしその翌年に米スリーマイル島の原発事故が起きた。同原発の設計はマークⅠ型とは異なっていたが、NRCは事故を受けて安全性を徹底検証し、マークⅠ型も複数の変更が加えられた。
だが、バーモント・ヤンキー原発に反対している専門家のアーニー・ガンダーセン氏は、マークⅠ型ではメルトダウンが起きた場合に放射性物質の放出を防げないことが福島第一原発の事故で実証されたと主張する。同氏の主導で同原発を監視する州の委員会も設置された。