福島第1原発:事故収束の道のり遠く…報道陣に公開

2012年2月20日 20時37分 更新:2月21日 7時34分

建屋が吹き飛んだ福島第1原発4号機。作業する人の姿が見える。緑色は燃料交換機=福島県大熊町で2012年2月20日午後1時、小林努撮影
建屋が吹き飛んだ福島第1原発4号機。作業する人の姿が見える。緑色は燃料交換機=福島県大熊町で2012年2月20日午後1時、小林努撮影

 東京電力福島第1原発が20日、報道陣に公開された。昨年12月に政府が「冷温停止状態」を宣言してから初めてで、事故収束への進捗(しんちょく)状況を知ってもらうのが目的。依然、放射線量は高い上に、冷温停止状態を支える原子炉高台注水ポンプでは凍結による水漏れが続発するなど、事故収束への道のりは遠い。

 相次ぐ水漏れに、高橋毅(たけし)所長(54)は「重要な設備を重点的に保温対策してきたが、想定が甘かったことは否めない」と謝罪した。

 敷地内の公開は昨年11月に続き2回目。前回と同様、1~6号機の周辺をバスで移動した。3号機の海側では、一般の年間被ばく許容量を1時間で超える毎時1・5ミリシーベルトを計測。高い線量のために、車外に出られたのは全行程1時間のうち約15分だった。

 廃炉への作業が最も進んでいるのは4号機だ。数人がクレーンで足場材の上げ下ろしなどをしていた。

 今回初めて、原子炉高台注水ポンプが公開された。建屋などにたまった汚染水を浄化して冷却に再利用する「循環注水冷却システム」の要で、事故から約3カ月後に急ごしらえされた。1号機北西の高台(海抜約35メートル)に止まったトラックの荷台に、常用と非常用が各3台据え付けられている。だが、今年1月末に凍結で水漏れが多発。ゴム製保温材でホースを覆うなどの対応に追われた。

 経済産業省原子力安全・保安院は今月6日から、冷温停止状態を維持する体制がとられているかを確認するために保安検査を実施。20日は、汚染水の処理・貯蔵施設の運用について東電から事情を聴いた。【岡田英】

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷
 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

東海大学:健康に老いることを目指して抗加齢ドックに携わる。

現在の老化度を知り、今後の健康に役立てる

予防医学について聞く。