原発ゼロの日本を構想する

: 関西電力の高浜原子力発電所（部分）＝２０１１年５月９日、福井県高浜町、本社ヘリから

2012年2月20日: 　国内すべての原発が停止することが現実味を帯びてきた。２月２０日に関西電力の高浜３号機が停止すると、６０Ｈｚ帯の西日本で稼働する原発はゼロに。４月末に北海道電力泊原発３号機が定期検査に入ると全国で稼働する原発はなくなる。政府は従来、ストレステストなどをしたうえで、電力需要が高まる夏前に再稼働に踏み出すシナリオを想定していたが、地元の同意が得られずに難航。枝野幸男経済産業相は今夏に全国で稼働している原発ゼロを想定して対応する方針を表明している。

このテーマに対する記事

木代泰之

性急な再稼働、冷めていいのか改革の熱気(2012/02/20)

　「原発ゼロ」になれば今夏に電力不足のリスクが生じるとして、政府与党や経済界が立地自治体の首長たちに再稼働に同意するよう圧力をかけている。　原子力安全・保安院は再稼働に必要なストレステスト（耐性評価）"・・・・・続きを読む
脇阪紀行

エネルギー転換への見取図を―欧州の経験から(2012/02/20)

　西日本において稼働中の原発がなくなり、「原発ゼロ」が出現した。なーんだ、できるではないのか、というのが率直な感想だ。そもそも福島第一原発事故の原因究明も不十分なままに、原発を立地する自治体の首長に「"・・・・・続きを読む
小此木潔

原発ゼロへの現実的展望を描こう(2012/02/20)

　「とにかく、やればできる。ただちに脱原発を」。「いや、原発なしでは経済生活が立ちゆかない」。世論はそんな両極の意見に分かれているようにみえる。　だから、「だんだんと原発を減らしたい」という意見が多数"・・・・・続きを読む
竹内敬二

節電と全国融通で「原発ゼロ」を乗り越える。送電容量は「埋蔵金」(2012/02/20)

　福島原発事故から４カ月後の昨年７月１３日、朝日新聞は「原発ゼロ社会への提言」という論説主幹論文を出し、その中で「２０～３０年で原発ゼロをめざそう」と主張した。筆者も論説のメンバーとして議論に参加した"・・・・・続きを読む
寺岡伸章

エネルギー危機と道州制は地方の時代を導く(2012/02/18)

　原子力発電所は定期検査後の再稼働ができないため次々と停止状態になり、原発ゼロの電力不足時代に突き進んでいるように見える。関西電力管轄内で再稼働ができなければ、今夏電力が2割も不足するとも言われている"・・・・・続きを読む
寺岡伸章

エネルギー安全保障と日米関係から見た原子力(2012/01/30)

　エネルギーの安定的な確保は国家存続の基本である。　石油などの化石燃料に恵まれていない日本が核兵器投下の惨事を経験したにもかかわらず、核エネルギーを人類の福祉に転換する「原子力の平和利用」を選択したの"・・・・・続きを読む
高橋真理子

核不拡散と国際政治から考える原子力政策(2011/09/20)

　朝日地球環境フォーラム２０１１（９月１５日～１７日、東京のホテルオークラ）でもっとも注目されたのは「どう変える、原子力とエネルギー政策」のパネル討論（コーディネーター：竹内敬二編集委員）だろう。原子"・・・・・続きを読む
原田泰

原発か、自然エネルギーかの二者択一を越えよ(2011/07/21)

◇CO2排出量と買取り価格を体系的に◇　原発を使わないなら節電か自然エネルギーだと考えると実際的な解決策がなくなってしまう。クーラーを使えないのも、自然エネルギーで電力料金が5倍になるのも困る。しかし"・・・・・続きを読む
小此木潔

当然だが、画期的な転換だ(2011/07/21)

　「原発ゼロ社会」を提案した論説主幹の署名論文と社説は、朝日新聞の歴史的な転換を象徴するものである。　世論調査で多くの国民が「脱原発」を望んでいることがすでに明らかである以上、この主張自体はいわば「当"・・・・・続きを読む
高橋真理子

〈続〉フクシマが欧州に与えた影響の深層(2011/07/13)

　イタリアとドイツ以外の欧州の国々にフクシマが与えた影響の実像を、引き続き６月末にカタールのドーハで開かれた第７回科学ジャーナリスト世界会議で集めることができた情報を元に探っていきたい。　旧ユーゴスラ"・・・・・続きを読む
吉田文和

原発のコストをどう考えるか(2011/07/12)

　福島第1原子力発電所の事故以降、全国の原発54基全てが停止する可能性が浮かび上がってきた。問題は、その場合の電力供給体制とコストである。　日本エネルギー経済研究所は、全国の原発54基が全て停止した場"・・・・・続きを読む
木代泰之

「原発拡散」の時代、ストレステストの意味とは(2011/07/11)

　原発のストレステスト（シミュレーション耐性試験）をめぐり、菅内閣が大揺れしている。海江田経済産業相が玄海原発の運転再開を地元に要請した1週間後、菅首相が「日本でもストレステストをしたい」と待ったをか"・・・・・続きを読む
小森敦司

原発―「１０万年の安全」と「コスト６円」の断絶(2011/07/11)

　「ここは、言うならば埋蔵場所です。ある物からあなたを守るために、その物を埋めました。この場所への進入はご遠慮ください」――こんな語りで始まるドキュメンタリー映画「１００，０００年後の安全」を筆者も見"・・・・・続きを読む
高橋真理子

フクシマが欧州に与えた影響の深層(2011/07/11)

　福島第一原発事故の影響でドイツとスイスとイタリアは「原発とサヨナラ」することになったと思っていた。６月末にカタールのドーハで開かれた第７回科学ジャーナリスト世界会議でドイツの科学ジャーナリストにそう"・・・・・続きを読む
Blog vs. Media時評

原子力体制を変革するエンジン不在が問題(2012/01/28)

　毎日新聞の《この国と原発：第４部・抜け出せない構図　政官業学結ぶ原子力マネー（その１）》はマスメディアで盛んになっている「原子力お勉強企画」でも質が高いと思います。福島原発事故を経ているのに来年度予"・・・・・続きを読む
Blog vs. Media時評

再処理工場再開：核燃料サイクルの即時停止を(2012/01/18)

　福島原発事故の惨事で原子力開発へ「待った」がかかった状況なのに、青森の核燃料再処理工場の建設が再開されました。当初予定の３倍にもなる建設費２兆円余りを投じて、まだ完成しないのは最終工程の高レベル放射"・・・・・続きを読む
すくらむ／くろすろーど

原発のない世界のための横浜宣言 - 脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA(2012/01/17)

　1月14、15日に横浜市のパシフィコ横浜で開かれた「脱原発世界会議」には、世界30カ国から２日間の合計で1万1500人が参加しました。「脱原発世界会議」で確認された宣言を紹介します。　原発のない世界"・・・・・続きを読む
田口理穂

反原発運動発　１人の主婦が始めたドイツの電力会社(2011/06/16)

　ドイツのシェーナウ電力会社は、一人の主婦が始めた反原発の市民運動が盛り上がり、電力会社に発展したという世界でも珍しい企業だ。　1994年に設立された同社は、再生可能エネルギーのみによってつくられた電"・・・・・続きを読む
橋本努

原発に責任、持てますか？　トップをめぐる「政治」と「科学」(2011/05/02)

大地震が起きてから、はや50日がすぎ去った。被災地の惨状が伝えられる一方で、急速に日常を取り戻しはじめた地域もある。「被災」と「日常」の並存というこのギャップに、違和感をもって暮らしている人々も、多い"・・・・・続きを読む
田口理穂

国民が決める、ドイツの脱原発(2011/04/04)

　ドイツは福島の原発の事故について、最も過敏に反応している国だと言われる。　ニュースを報じるドイツのテレビ局は大阪から中継し、ルフトハンザは一時成田就航を中止し、新聞ではアポカリプセ（黙示録）という語"・・・・・続きを読む
田中聖香

原発ゼロ、オーストリアの選択(2011/03/29)

　IAEA（国際原子力機関）の本部はウィーンにある。しかしオーストリアという国には、原発は1カ所もない。　この国では伝統的に水力発電が主流だ。2009年の総発電量68974 ギガワット時の62,3% "・・・・・続きを読む