群馬県編もいよいよ最終段階に入ってきました。みそパンに焼きまんじゅう、もんじゃき、さらには桐生ならではの肉の入ってないコロリンシュウマイまで登場しました。さて、今週はどんな「群馬県ご当地グルメ」が登場するのか…。
番外編では、アミー隊員がこれまでに食べBで食べてきたラーメンを振り返ります。一緒にご覧ください。
食べBのFacebookページを開設しました(http://www.facebook.com/tabebforum)。実食編地図など、オリジナルコンテンツも掲載していますのでぜひご利用ください。
★群馬県の次は愛媛県を取り上げます。愛媛県ならではの食べ物情報を大募集中です。
<写真を拡大> 眠っている間に何が… |
今朝起きたら右の手首に痛みが走った。ひねると痛い。力を入れると痛い。寝違えたか?
学生時代、寮で同室だった男が目を覚ますと片一方の足首を捻挫していた。不思議に思って彼のベッドをのぞいたところ、壁の一角に真新しいへこみができていた。寝ている間に思いっきり足首を壁にぶつけたらしい。
しかしながら私のベッドは壁と接していない。私は眠ったまま一体何をしたのであろうか。
手首用のサポーターをして出社した。すると私のデスクの上に、皆さんからいただいたメールの束と人間の方のデスクのメモがある。
「今週分のメールです。大量です」
本当だ。大量だ。
この方が食べたものも大量である。
<写真を拡大> コロリンシュウマイ(ミルフォードさん提供) |
土曜日の午後に行く算段にしていたところ、なんと金曜日の「食べB」にグッドタイミングで紹介されました。これも何かの縁だろうと、足取りも軽く「コロリンシュウマイ」を目指します。
特急「りょうもう」号に乗って、東武鉄道とわたらせ渓谷鉄道が交じり合う相老(あいおい)駅で下車し、てくてく歩くこと15分強。青空の下に、白地に赤の看板を発見。今後の展開をにらみ5個125円の最小ユニットを注文します。
夢にまで見た男爵いも、タマネギ、馬鈴薯でんぷんの3重奏。豚脂が入っているので、肉なしとはいえ肉入りのシュウマイのようないい匂いです。
<写真を拡大> コロリンソース(ミルフォードさん提供) |
味付けはコロリンソース。ウスターソースのようにシャバシャバです。予想していたのとは違って、甘くはなく、どちらかというとすっきりした味わいでした。
コロリンという名前は、童謡「おむすびころりん」からとったのだそうです。
電車の連絡時間の関係で、すぐに駅まで引き返さねばなりません。よりによって、とってもHOTな昼下がり。汗をかきかき、来た道を戻ります。歩いた分だけ、愛おしい。
そんな群馬の旅の幕開けでした(ミルフォードさん)
ミルフォードさんの群馬食探求の旅はここから始まって、次は「子供洋食」。
<写真を拡大> 武正米店の子供洋食(ミルフォードさん提供) |
「桐生市内に残るローカルフード『子供洋食』。ジャガイモ、ネギ、桜えびをラードで炒め、ソースとかつおだしで味を調え、トッピングに青のりと紅しょうが。昭和初期から、子どもたちの手ごろなおやつとして人気だったメニューを、市内で食べることができました。
1軒目は『武正米店』。本業は米屋さんだが、クリーニング屋でもあり、焼きそばなども作っています。まさに“街のホットステーション”ですね。
1番小さいサイズを注文。ジャガイモを頬張りながらお店の人に話を聞く。
元々は屋台の引き売りがメインだったそうで、織物工場に活気があふれていたころ、忙しい親たちから小銭をもらって、屋台で子供洋食を食べるのが楽しみだったと話します。
<写真を拡大> 仲よしは「小供洋食」(ミルフォードさん提供) |
2軒目は『仲よし』。ザ・街の食堂といったたたずまい。こちらの店では『小供洋食』と表記。桜えびの代わりにモヤシが入っていました。
大衆食堂やラーメン屋が増え、屋台の引き売りが下火になるにつれ、子供洋食は家庭で食べるおやつとなりましたが、懐かしい味を復活させようと武正米店がメニューにしたのは6〜7年前らしいです」
コロリンシュウマイに次いで子供洋食を制覇。となれば後はこれ。
<写真を拡大> ほりえのやきそば(ミルフォードさん提供) |
「市内の目抜き通りに面した『ほりえのやきそば』。中林20系さんが紹介されていたのは、こちらです。『すべての焼きそばにポテトが入ります』という文字が力強いですね。
持ち帰りだけでなく、店内でも食べられます。食べ駅伝の途中でしたので、一番小さいサイズでお願いしました」
本命が登場。
<写真を拡大> 志多美屋のソースカツ丼(ミルフォードさん提供) |
「桐生のソースカツ丼のルーツともいわれる老舗、志多美屋。夜の部の開店と同時に、ご近所の家族連れで店内は一杯になりました。こちらのソースカツ丼のおすすめはヒレ。一口サイズのカツがご飯にのったタイプです。食べ駅伝の途中でしたので、カツ4個のせでお願いしました」
まだ駅伝は終わらない。
<写真を拡大> 立田野食堂(ミルフォードさん提供) |
「桐生には、昭和の香りを色濃く残す食堂が何軒かありました。その一軒『立田野食堂』の写真を送ります。ご飯に酢豚が添えられたサンプル、珍しくないですか。
桐生名物、小松屋の花ぱん。卵と小麦粉を練って焼き、表面に蜜と砂糖をかけたもの。
ビスケットより柔らかくパンより乾燥していて硬い感じ。でもフカフカでおいしい。
桐生天満宮の梅の花を模した形。100年程前から形も味も作り方も変わっていないらしいです。
<写真を拡大> 花ぱんとしいたけクッキー(ミルフォードさん提供) |
おまけは、桐生で出合った『しいたけクッキー』。ご愛嬌で。
桐生市内では、うなぎ屋さんを多く見かけました。市内中央にある『泉新』は、江戸時代から続く老舗。見事なたたずまいでした。ちなみに、電車で20分の伊勢崎では、うなぎ屋さんは非常に少ないそうです」
<写真を拡大> 志多美屋のメニュー、ロースは「脂のりのり」(ミルフォードさん提供) |
あっ、酢豚ご飯やうなぎは食べていませんね。よかった。 個人版群馬県実食編、お疲れさまでした。
デスク さてここで、恒例の群馬県編のVOTEです。群馬県に行って野瀬に実食してきてほしいと思うものを以下の5項目の中から選んでください。今回からVOTEは食べBのfacebookページで行います。あっちに行って「ぷちっ」としてきてください。facebookをご利用でない方は、ここをクリックして、いつものところまでメールでお知らせください。
(1)ポテト入り焼きそば
(2)子供洋食
(3)ひもかわうどん
(4)ソースカツ丼
(5)みそパン
<写真を拡大> 桐生の老舗鰻屋「泉新」(ミルフォードさん提供) |
両毛線一帯はソースカツ丼地帯でもある。高崎もそう。北は福島、会津まで広く分布する。私も桐生の志多美屋に行っている。昼間だったが繁盛していた。サラダと自家製のドレッシングが付いたような記憶がある。
さてポテト(じゃがいも)入り焼きそばである。どこからどこまで生息しているのか。
というより、群馬、栃木をまたぐ共通のものがある。それはソースとポテト。
<写真を拡大> 足利・鈴屋のポテト入りやきそば(ぎずもさん提供) |
群馬編第2回でポテト入り焼きそばが登場しましたが、群馬県桐生市・太田市は栃木県足利市に隣接しています。JR両毛線沿線は地ソース地帯で足利・佐野・栃木市には今も地元ソースメーカーが存在しますし、上州太田焼きそばも足利産ソースを使っている店が多いことから、あの一帯は県境を越えて「足利ソース文化圏」が形勢されていると考えたほうがよさそうです。
高崎〜足利にはソースカツ丼が多いこと、シューマイをソースで食べることなど、共通点も見られます。
なお足利・桐生では「ポテト入りやきそば」、栃木市では「じゃがいも入りやきそば」と呼びます。
この起源には「ポテト」という食べ物があったようですが…。続きは栃木県編のときにいたしましょう(ぎずもさん)
ということであるが、栃木県編のときの大事な宿題としてとっておこう。
「食べ物は文化を運ぶ乗り物である」と言うけれど、その乗り物を運んだのが鉄道。ソースカツ丼やポテト入り焼きそばは、そのことが如実にわかる貴重な事例であろう。
<写真を拡大> 群馬県のスーパー「ベイシア」のハムカツといもフライ |
群馬の太田市出身の父がいた我が家は都内でありながら、ジャガイモをゆでてパン粉をつけて揚げるいもフライがしばしば食卓に上がっておりました。
が、街の洋食屋にも総菜屋でも、そんなものは見かけたことはなく、ごくごく最近、ローカルフードと知りました。
作っていた母の出身は群馬ではないのですが、結婚した当初ほぼ料理ができなくて、どうやら父が作り方を教えた料理の一つらしいです(電脳文化桃さん)
ここにも「ポテト」の影。
「いも」というと無条件にサトイモを思い浮かべる地域も少なくない。しかしながら群馬ではサトイモの存在感は希薄である。対照的にジャガイモの活躍ぶりが目立ってしょうがない。印象としてはそうであったが、ここまでとは。
ミルフォードさんのメールにあった「うなぎ」。伊勢崎では。
<写真を拡大> 伊勢崎の寿司屋 |
伊勢崎の街歩きをしていると、なぜかお寿司屋さんが目に付くんです。遊郭もあった街ですから、さもありなんと思ったのですが、そういえば「うなぎ屋」は?? そう遠くない浦和や川越あたりにはかなりの数があったと記憶しています。
地元の賢者に聞いてみると「実はないんですよ」とのお答え。1軒だけあったお店も店じまい。あぁ理由が遠くて聞こえなかったのが残念至極。
そこそこ大きな街に普通ある食べ物屋さんがないっていうのも、ある種の「食の方言」なのではと思ったのでした(MAYさん)
<写真を拡大> かかあ天下・上州伊勢崎のかかあ像 |
桐生には老舗のうなぎ屋が健在であるのに対し、伊勢崎ではゼロになった。不思議なことである。その代わり、内陸部なのに寿司屋が目に付く。これも不思議である。
私は太田でうなぎの取材をしたことがある。渡良瀬川で獲れた天然うなぎであった。まかないの「うなサンド」が美味かった。
さて前回、皆さんに「甘じょっぱい」と言うかどうかをお尋ねした。「食べB」のフェースブック上でVOTEをお願いしたところ、あっという間に多くの回答をいただいたようである。
数字が動いているので大ざっぱに書くと「言う」が半分強、「言わない」が3割弱、「自分は言わないが、聞いたこととがある」が2割弱となっている。
「甘じょっぱい」って言う? |
「仙台です。ほかになんて言うんですか」「甲府では普通に使います」というような回答からは東日本型の表現であることがうかがえる。
反対に「東京生まれです。使わないですね」とか「水俣では使いません」と東京以西では別の色を見せている。
東京生まれ、東京育ちの同僚2人に聞いた。「甘じょっぱい……」としばらく固まった後で両人とも「使わない」。大阪出身の同僚は「そもそも、しょっぱいという日本語を知らない。大阪では塩辛いとか単に辛い」という答えだった。
久留米ではどうか。私が「しょっぱい」という言葉を知ったのは東京に出てきてからであって、地元では「辛か」とか「塩がきつか」と言っていた。従って「甘じょっぱい」という概念は「甘辛い」という言葉に変換される。
<写真を拡大> 甘くてしょっぱかった伊勢崎の「じんじゃコロッケ」 |
小泉武夫さんの著書に「甘じょっぱい」が頻出するという指摘が複数あった。小泉さんの出身地は福島であるから、やはり北関東以東の東日本型表現ではないかと思う。
私はこの原稿をWordで書いているが「甘じょっぱい」と打つと、赤い波条の下線が現れる。「間違えていませんか?」と確認しているのである。ということは標準語ではないということであろうか。
原稿を書き終えてみると、いただいたメールが多くて長大になった。デスクは「長すぎます」と言う。なるほどこの長さだと、読んでいて倒れる人が出ないとも限らないので、前後編に分割する。したがって愛媛県編のスタートは次々回から。そこんとこよろしく。
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■番外編 アミー隊員の「ラーメンを振り返る」
■群馬B級グルメ(その3) みんなだんご汁をすいとんよ
■群馬B級グルメ(その2) 湯気立つシュウマイ、上昇キリュウ
■群馬B級グルメ(その1) 伊勢崎もんじゃは、こんな「もんじゃき」
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