東京電力:企業向け電気料金を値上げへ 来年4月から

2011年12月22日 11時44分 更新:12月22日 13時3分

東京電力本店ビル=根岸基弘撮影
東京電力本店ビル=根岸基弘撮影

 東京電力は22日、企業向け電気料金を12年4月から値上げすると発表した。福島第1原発事故後の各原発停止に伴う火力発電所の燃料費増加で悪化した収益構造を改善させるのが目的。値上げ幅は2割程度を検討している。電気料金の値上げは第2次石油危機直後の1980年以来32年ぶりとなる。東電は家庭向け電気料金も、できるだけ早い時期に政府に値上げを申請する方針を示した。【立山清也】

 値上げを決めたのは契約電力50キロワット以上の事業者向け。主な顧客はオフィスビルや工場、デパートなど。対象は約24万件で東電の販売電力量の6割を占める。電力小売り自由化で、05年に契約電力50キロワット以上は、値上げに政府の認可が必要なくなっており、東電の判断で実施できる。来年1月までに新料金体系など詳細を詰める。

 福島第1原発事故以降、原発を代替する火力発電所の燃料費が8300億円程度増加し、東電は12年3月期連結決算で約6000億円の最終赤字に陥る見込み。政府は東電に公的資本を注入する方向で検討しているが、資本注入だけでは赤字構造は変わらず、東電は値上げが必要と判断した。電力各社は燃料の価格変動を自動的に反映させる「燃料費調整制度」で毎月の電気料金を改定しているが、今回の値上げは、この制度とは別となる。

 会見した西沢俊夫社長は「燃料費負担が大幅に増加し、燃料調達や電気の安定供給にも重大な支障をきたす恐れがあり、値上げをお願いさせていただくことにした」と説明。ただ、円高に苦しむ製造業などにとってコスト増となるため、反発が予想される。

 一方、契約電力50キロワット未満の一般家庭向けなどの値上げには政府認可が必要。この分野は、経済産業省の「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」が来年2月にも原価の算定基準などの見直し方針を示す予定。これを受け、東電と原子力損害賠償支援機構が値上げ申請の時期や上げ幅を検討し、来春策定予定の総合特別事業計画に反映させる。

 電気料金の値上げについて、枝野幸男経産相は22日、記者団に「総合特別事業計画の認定に当たり、東電のすべての状況を考慮する」と厳しい姿勢で臨む考えを示した。

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

東海大学:健康に老いることを目指して抗加齢ドックに携わる。

現在の老化度を知り、今後の健康に役立てる

予防医学について聞く。