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「社会正義示された」=死刑考え、悩んだ13年間―「喜びなく、厳粛」・本村洋さん

時事通信 2月20日(月)19時59分配信

 山口県光市の母子殺害事件発生から13年。5回の判決を経て、当時18歳だった大月(旧姓福田)孝行被告(30)の死刑が確定することになった。「社会正義が示された」。最愛の妻と幼い娘の命を奪われた本村洋さん(35)は、厳しい表情を崩すことはなかった。
 被告側の上告を棄却した20日の最高裁判決を受けて同日午後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見。「社会の皆さんに関心を持っていただいた。長い間、裁判を続けてくれた裁判官、検察官、弁護人にも深く感謝します」と頭を下げた。
 「大変満足しているが、喜びの感情は一切ない。厳粛な気持ちで受け止めないといけない」。うっすら涙を浮かべ、真剣な表情で判決の感想を述べ、「死刑について考え、悩んだ13年間だった」と振り返った。
 犯行時少年の死刑判決は例が少ないが、一貫して極刑を求め続けた。会見では「彼が犯したことは許されることではない。死の恐怖を通して罪の重さをかみしめてほしい」と強く訴えた。弥生さんと夕夏ちゃんには、21日に墓前で報告する。
 事件直後は、家族を守れなかった自分を責め、自殺も考えた。「時間は最良の相談相手だった」。怒りの気持ちも年月とともに収まり、冷静に考えられるようになった。
 刑事裁判の在り方にも一石を投じた。「全国犯罪被害者の会」の幹事として、被害者の権利拡充に奔走。犯罪被害者等基本法の制定、被害者参加制度の導入などを実現した。「達成できたことが何よりうれしい」と語った。
 2009年に再婚した。2人の命日には毎年、夫婦で墓前で手を合わせているという。今後については、「支えてくれた人に感謝して生きていきたい」と話した。 

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最終更新:2月20日(月)21時27分

時事通信

 

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