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普天間飛行場の安全不適格宣言(市長コメント) 担当課:基地渉外課
本日、本市の最大の行政課題であります普天間飛行場の早期閉鎖・返還に向けて軍航空施設の安全基準の視点から普天間飛行場の安全不適格宣言を行い、日米両政府に対して普天間飛行場問題の解決を強く発信するものであります。
過去二度の訪米要請を行うなかで米本国の航空基地と普天間飛行場の運用には雲泥の差があることが明らかになりました。それを踏まえて今年度は、米国の米軍航空基地の運用についての調査を委託し情報収集を行ってきました。
米本国の航空施設整合利用ゾーン(AICUZ)プログラムインストラクションによると軍事飛行場の運用では、CLEAR ZONEとAPZの設定があり、CLEAR ZONEは土地の利用禁止区域、APZはアクシデント・ポテンシャル・ゾーンで事故の危険性がある区域を指します。
普天間飛行場では、CLEAR ZONEとAPZが滑走路の端から4,500mの範囲ですので、小学校や公共施設、大型集客施設などが利用禁止区域と事故危険性区域の範囲の中に存在することになります。このことは日米両政府が普天間飛行場の危険性を覆い隠してきたことでもあり、2年前の市内大学へのヘリ墜落事故は危険な運用のなかから必然的に発生したものともいえます。
今後もこの米国内では許されない危険が続くことになり、このような住民の安全と生命を無視した基地運用を許すことはできません。
更には米国海兵隊司令官のマイケル・ハギー大将が下院軍事委員会の陳述で海兵隊の老朽化した所属ヘリが設計上の使用率の2倍から3倍のペースで使用されていると述べており、ますます危険な運用が助長される状況にあります。
本市としましては、市民の生命と財産がこれ以上、危険に晒されることがないよう、一日も早い危険性の除去を日米両政府に強く求めてきたところでありますが、危険性が放置されたままの現状と、更には軍事航空施設の安全基準に適合しないことからここに普天間飛行場の安全不適格を宣言いたします。
2006年11月1日
宜野湾市長 伊波 洋一
米国の安全基準について補足説明いたします。
2002年12月19日に海軍作戦本部司令官及び海兵隊司令官から航空施設整合利用ゾーン(AICUZ)プログラムインストラクション(航空施設周辺地域の土地利用に関する指針)が示されました。国防総省は、国民の健康、安全、福利を保護し、且つ国家の安全を確保するため軍航空施設の運用能力が周辺民間地域の拡張により損なわれないため、航空施設整合利用ゾーン(AICUZ)プログラムを開始した。AICUZプログラムは軍事飛行場の運用に関連する騒音レベル、事故危険性、障害物クリアランス基準と両立する土地利用を勧告するとされています。
更に航空施設の規模・頻度によって規制基準がタイプA,Bに分類され、それぞれCLEAR ZONE(利用禁止区域)とAPZ(事故危険区域)の範囲が設定されております。
普天間飛行場の場合は、A滑走路の標準(2,400m以内)を超える2,800mの滑走路を有し、使用される航空機もKC−130(P3Cの飛来もある)という米海軍が重量航空機に分類するこう航空機が主であります。
また事故危険区域Tを設定するかどうかの基準となる年間の固定翼運用回数5000回以上についてもKC−130等のタッチアンド・ゴー訓練を参考に年間約5,600回以上(週に3回、1回あたり3時間継続し5分間隔で1回通過することから12回×3h×3回×52週)あります。
したがって、普天間飛行場はタイプBの滑走路をもつ飛行場と判断されるとともにCLEAR ZONE(利用禁止区域)が滑走路の両端から900m、APZ(事故危険区域)が3,600mとなり、滑走路の端から4,500mの範囲は住宅、学校、病院、文化施設、集会場の設置は適さないとなっております。
そうなると普天間飛行場においては利用禁止区域及び事故危険区域に学校や住宅地が密集した状態となっており、米国の安全指針に適合しないこととなります。更に事故危険区域になると本市のみならず北中城村や浦添市までが危険区域のエリアに入っている状態となります。
先ほど、米本国の基地と沖縄の米軍基地では、運用のあり方に雲泥の差があると申しあげました。米国内の米軍基地は国内法の規制の下にある上、軍は更に厳しい基準を定めて住民生活との調和を図り、良好な市民生活(Quality of Life)について安全基準を適合し確保しております。
本市としましては、今後、日米両政府に対し、在日米軍再編の基地配置条件の原則的事項でありました「米軍は望まれ、歓迎され、必要とされる場所に配置する」ということを再認識していただき、米国の安全基準が普天間飛行場においては徹底し遵守されているのかを求めると同時に飛行ルートの検討においても解決策が見い出せないような危険な普天間飛行場においては、一日も早くヘリ基地としての運用を中止し、2008年までに返還するよう求めるものであります。
最後に普天間飛行場の返還に向けたこれまでの取り組みについて報告し、市民、県民のご理解をお願いしたいと思います。
私は、2003年4月に5年以内の普天間飛行場返還を訴えて選挙に臨み、市長に就任して以来、米軍ヘリ墜落事故までに5度にわたり外務省や防衛庁、防衛施設庁、内閣府、在日米国大使館を訪ねて、住宅地上空での飛行訓練の中止や航空機騒音の軽減とともに早期全面返還を強く求めてまいりました。
普天間飛行場の周囲には、約8万9千人もの市民が居住し、12の市立小中学校と1私立小中学校、11の幼稚園、約50の保育所の他、多くの病院、商業施設などがあり、そのような住民地域の上空を毎日のように米軍ヘリや米軍機が頻繁に旋回飛行訓練を繰り返していることは米本国では考えられないことであります。
離発着する米軍機が住宅地上空を飛行するだけでなく、恒常的に住宅地上空での旋回飛行訓練を行い、米軍機による航空機騒音の発生が住民へ被害を与え、更に老朽化した米軍ヘリが住宅地で飛行することによる墜落の不安の下で市民は暮らしてきたわけです。これ以上、市民の生命、財産を危険に晒してはならない、このような状況は放置できるものでなく宜野湾市民の受忍の限度を超えていることから本市発展の最大の阻害要因となってきた普天間飛行場の2008年までの返還をめざして取り組みを開始したわけです。
その一環として、日本政府(防衛庁、外務省等)や在日米国大使館や在沖米軍司令官、更には二度にわたる訪米要請では国防総省、国務省などに騒音被害の実態と危険性を指摘しながら実情を説明し、普天間飛行場問題の解決を強く要請してきました。
私は、狭い沖縄で新たな米軍基地建設を求めることは至難のことであり、普天間飛行場の返還が実現しない原因は県内移設の条件にあることを指摘し、米国内での基地閉鎖のようにハワイやグアムを含めた既存の基地への分散によって普天間飛行場を閉鎖するよう強く求めました。
米軍施設の返還は、県民の長年の希望であり、特に本島中部地域の軍用施設では約75%が民有地であり、これまで米軍基地の返還は故郷への回復であり、新たな街づくりは地域振興の原動力となってきました。
広大な普天間飛行場跡地開発は、莫大な費用と沖縄振興の核になることから国、県、市の三者が一体となって開発を進めることが、2002年に成立した沖縄振興特別措置法で法制化され、これまでの様々な調査を踏まえて2006年2月に普天間飛行場跡地利用の基本方針を策定したところであります。
本市においては、西海岸地域二街区への400室のインターコンチネンタルホテルをはじめとする企業誘致で年間宿泊者70万人、雇用者1400人、法人からの市税収入3億円を想定した企業誘致による活性化を目指しており、自立型経済への転換に向けた跡地利用計画との整合性の面からも早期返還を求めるものであります。
2004年8月に発生した米軍ヘリの墜落後に日米両政府は、普天間飛行場の飛行ルートについて検討を開始しましたが、2年を経過した現在も飛行ルートを示しきれず危険性は放置されたままであり、更には去る9月に米国太平洋軍司令官等に対して普天間飛行場の危険な運用実態の改善要請と米国の安全基準についての回答を求めましたが回答の無いままであります。
1996年のSACO最終報告での普天間飛行場全面返還合意から10年を経過しても普天間飛行場の危険性は放置され続けています。本年5月には在日米軍再編の最終報告が合意されましたが、更に2014年まで8年間放置していこうとするものです。普天間飛行場返還の原点が見失われつつあります。
普天間飛行場の危険性は一日も放置できるものではなく、これ以上、市民の生命と財産を危険に晒すことはできないことから、今回、本市が入手した米国の軍事航空基地の安全基準について公表し、普天間飛行場の安全不適格宣言を行い、普天間飛行場が現状のまま運用されてはならない基地であることを強く訴え、2008年までの早期返還に引き続き取り組んでまいります。
・市長コメント-普天間飛行場の安全不適格宣言-(PDFファイル 31KB)
〜説明資料〜
・普天間飛行場の事故危険性ゾーン資料(PDFファイル 665KB)
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更新日:平成18年11月1日