通称“アベノ”と呼ばれる「阿倍野・天王寺」地区の人気が高まっている。商業施設の開業・改装が相次いでいるのに刺激され、同地区では1億円超の高級マンションが完売。住宅の人気は周辺にまで波及し始めた。高さ300メートルと日本一の高層ビル建設も進んでおり、街は華やかさを増している。
「2月までに全112戸を完売した」――。複合ビル「あべのnini(ニニ)」の不動産開発にかかわったCOLORS(大阪市)事業推進部の丸山栄一部長は胸を張る。
あべのニニはホテルと商業施設、マンションで構成する地上24階、地下2階の高層ビルだ。地域を代表するランドマークとなることから、分譲価格が3000万~1億2500万円と一部が大阪の都心部並みに高額だったにもかかわらず、住宅部分(13~24階)の人気は高かったという。
■5駅7路線集中
14日には前衛芸術家の草間弥生氏が手がけた約300平方メートルの壁面アートが公開され、街に華やかさを添えた。地下2階から地上4階の商業施設は今月から順次オープンし、リゾートトラストが運営する「ホテルトラスティ大阪 阿倍野」も3月16日に開業する。
近畿日本鉄道や西日本旅客鉄道(JR西日本)、地下鉄など5駅7路線が集積する阿倍野・天王寺地区には1日に約78万人が駅を利用する。さらに大阪市立大医学部や調理師専門学校の辻調グループなどの学校も多く、若者が集まる街でもある。
近鉄百は若者層の取り込みを狙いファッションビル「フープ」で4月から改装を始める。フープには「ビームス」などのセレクトショップが入居するが、改装ではセレクトショップの数をさらに増やし、若者の吸引力を高める。
■最大級の百貨店
近鉄が開発を進める高さ300メートルの超高層ビル「あべのハルカス」に2014年春、近鉄百の阿倍野本店が大幅増床して開業する。売り場面積は10万平方メートルと国内最大規模。百貨店の一部には近鉄百が名古屋で手がける「パッセ」が入る。パッセは10代後半~20代前半の渋谷系、原宿系の女性ブランドを集めた商業施設で、若い女性に人気だ。
一連の商業開発に刺激され、11年に阿倍野区で売り出されたマンション戸数は468戸と、前年に比べ25%増えた。そのうち9割が11年末時点で成約済みという。阿倍野区の平均分譲価格は1戸3969万円と、大阪市内平均(3361万円)を600万円ほど上回った。“アベノ効果”が周辺の価値も高めている。
不動産経済研究所・大阪事務所の石丸敏之所長は、08年に兵庫県西宮市で大型商業施設「阪急西宮ガーデンズ」が開業してマンション需要が高まったことに触れ、「同じような状況が阿倍野区でも起こっているのではないか」と分析する。
衣食住のすべてで厚みを増しつつある「アベノ」だが、百貨店の新設・増床が相次いだキタ、ミナミとの顧客争奪戦が一段と激しさを増すのは必至。今後、商業地として独自の個性を打ち出すことが課題となりそうだ。
(大阪経済部 早川麗)
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