2011年12月21日 21時56分 更新:12月22日 2時51分
政府と東京電力は21日、福島第1原発1~4号機の廃炉計画を検討する「中長期対策会議」(共同議長=枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相)を開き、廃炉完了に30~40年要することなどを盛り込んだ廃炉工程表を了承した。細野担当相は記者会見で「達成にはさまざまな不確定要因があり、40年でできるとは現時点では言い切れない」としながらも、「できるだけ早い段階で廃炉を実行する」と述べ、前倒しを目指す考えを示した。
工程表は、原子炉建屋などの放射性物質の除染方法を検討し、使用済み核燃料プールの燃料回収を始める第1期(今月~2013年度)▽原子炉格納容器を修復し、水を張る冠水(水棺)作業などに取り組む第2期(13~21年度)▽溶融燃料回収を終え、原子炉建屋を解体する第3期(21年度以降)--の3段階で実施。第1期については当初、終了を14年までなどとしていたが、前倒しした。
溶融燃料の回収終了は20~25年後。建屋を解体し、更地にできるのは30~40年後になると見込む。現在の最大の課題である放射性物質を含む汚染水については、処理終了の目標を20年度内と設定した。
このほか、遠隔操作ロボットなど新規技術の導入を検討する「研究開発本部」と、廃炉作業の進捗(しんちょく)状況を点検する「運営会議」を設置する。
廃炉費用については、工程表では明記されなかった。枝野経産相は会見で「(廃炉終了まで早くても)30年後までにわたり、確実性の高い見積もりをすることは困難だ」と説明した。
政府は16日、「冷温停止状態」を目指した工程表の「ステップ2」が完了したとして、事故の収束を宣言した。これを受け、経産省資源エネルギー庁と原子力安全・保安院、東電が廃炉工程表の詳細を検討していた。【中西拓司】