首都圏連続不審死事件で、3人の男性への殺人罪などに問われている木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判は、さいたま地裁(大熊一之裁判長)で証拠調べをほぼ終え、17日から計9日間の被告人質問に入る。これまでに開かれた22回の公判で延べ60人の証人が出廷。直接証拠がない中、検察側と弁護側の主張が真っ向から対立した。
被告人質問は、まず弁護側からの質問が計6日間続く。弁護側は初日の17日、高校卒業までを北海道で過ごした被告が上京し、リサイクル業の経営者から多額の金銭援助を受けたものの経営者の死亡で困窮し、安定した暮らしを求めて結婚サイトに登録するまでを聞く予定だ。
弁護側は公判で、死亡した東京都千代田区の大出嘉之さん(当時41歳)、青梅市の寺田隆夫さん(同53歳)、千葉県野田市の安藤建三さん(同80歳)から金銭援助を受けたとし、(1)大出さんと寺田さんは別れ話の直後に自殺(2)安藤さんはたばこの不始末による火災で死亡した可能性--と主張した。「結婚の意思があり殺害動機がない」と改めて無罪主張するとみられる。
一方、検察側は後半計3日間の被告人質問で、3人の死亡直前に被告がとった不審な行動や、多量の睡眠薬や練炭を入手した理由などを聞くとみられる。検察側は、3人の死亡について「多額の金をだまし取り、うそが発覚しそうになったり結婚話が進み、練炭を使った自殺を装い殺害した」と主張している。【飼手勇介、田口雅士、平川昌範】
毎日新聞 2012年2月16日 20時23分