消費増税強行の建前に根拠ナシ
【政治・経済】
改正所得税法「付則104条」
何が何でも消費税増税の野田首相。与野党協議もできず成立のメドは全く立たないのに、17日に大綱を閣議決定、3月中に関連法案を提出するスケジュールにこだわっている。
そもそも野田が3月提出の建前にしてきたのは、09年度に成立した改正所得税法の「付則104条」の存在だ。自民党麻生政権時代のことである。この104条には、基礎年金の国庫負担割合2分の1や社会保障給付のため、〈遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講ずる〉とある。そのため野田は昨秋以降、事あるごとに政府が付則104条に縛られていると繰り返してきた。口実に使っているわけだ。
さて、〈11年度までに〉のリミットが来月に近づいてきているわけだが、では3月中に法制上の措置を講ずることができなかったらどうなるのか?
「法律に定められた政府の義務ではありますが、だからといって何か罰則があるわけではありません。違法状態になるだけです」(霞が関関係者)
ナーンだ、ではないか。違法状態のことなんて、国会では日常茶飯事だ。例えば、違憲状態の一票の格差について、民主党は今月25日の勧告期限を平気で延期しようとしている。例の「0増5減、比例80議席削減」の話だ。選挙制度の“抜本改革”のために「違憲状態」を放置するのだから、社会保障制度の“抜本改革”のために、付則104条くらい放置したって、どうってことはない。じっくり議論すればいいのだ。
「税率の引き上げは次の衆院選後と言っているのだから、法案を急ぐ必要は全然ないのです。付則にある『経済状況の好転』だって実現できていない。前提が崩れているのですから、野田首相はまずはデフレ脱却ですよ」(民主党中堅)
それが正常な考え方なのだ。