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【経済】

共通番号制度 消費増税とセットで推進

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 政府は国民一人一人に「マイナンバー」と呼ばれる番号を割り振り、納税実績や年金などの情報を管理する共通番号制度の導入を目指している。二〇一五年一月の利用開始を想定。消費税率の引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革にも必要だとするが、個人情報が漏えいする危険性など課題も多い。 (関口克己)

 新制度は所得や納税額、支払った年金や医療、介護などの保険料のほか、社会保障の受給に関する情報を住民基本台帳のネットワークを通じて集約し、国民や企業にそれぞれ数字を割り振る。子どもを含めすべての国民と企業に番号を登録したICチップ付きのカードを配る。

 個人情報に関しては現在、給与所得は国税庁、年金は厚生労働省−などと担当官庁が分かれ、番号もばらばらだ。新制度でこれらを一つの番号にまとめ、収入に応じたきめ細かい社会保障サービスを提供するという。

 政府は十四日、新制度を導入する法案を閣議決定。十七日に決定した一体改革大綱にも明記した。消費税増税で低所得者への負担軽減策となる「給付付き税額控除」のほか、医療や介護などの自己負担の合計額に上限を設ける「総合合算制度」の導入には所得を正確に把握する必要があり、共通番号は欠かせないと強調している。

 政府は新制度について▽確定申告や年金受給手続きの簡略化▽年金手帳や健康保険証、介護保険証の機能を一枚のカードが持つ▽災害時の本人確認や保険金受け取りに活用できる−などと国民に便利だとアピールする。

 ただ、政府にとっても所得の過少申告による脱税や税の不正還付を防げるという利点がある。

 税理士の浦野広明立正大客員教授(税法学)は「税務署は個人や企業に納税者番号をつけ、税の申告状況を整理している。マイナンバーで所得把握する必要はない」と指摘。「国民のあらゆる個人情報を国が管理する国民総背番号制が目的だ」と導入に反対する。

 また、国民の制度への理解も広がっていない。内閣府が昨年十一月に行った世論調査では、83%がこの制度を知らなかった。40%が個人情報漏えいによるプライバシー侵害を、32%が個人情報の不正利用による被害が心配とも答えた。

 政府は個人情報が適切に管理されているかを監督する第三者機関を設ける。情報漏えいには四年以下の懲役、または二百万円以下の罰金を科す方針だ。

 だが、ネット犯罪は手口が巧妙化し、防止は困難。個人情報をひとまとめにした番号が悪用された場合の被害は大きく、慎重な制度設計が求められる。

 

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