東京大学の塩沢昌教授は福島県内の一部の水田で収穫されたコメから、高濃度の放射性セシウムが見つかった原因の一端を解明した。セシウムは水田の落ち葉や雑草に付着し、落ち葉などが微生物で分解される際に放出され、稲に吸収されたという。苗を植える前に落ち葉などが分解してなくなってしまうよう、土壌をあらかじめよくかき混ぜれば吸収を減らせるとみている。
放射性セシウムは昨年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故で発生し、雨などで水田に落ちた。塩沢教授は収穫されたコメから高濃度の放射性セシウムが検出された5カ所の水田を調べた。いずれも土壌中では、落ち葉や雑草などが分解されてできた有機物の濃度が高かった。
セシウムは土壌の粘土層に固定されやすく、固定後は稲にはほとんど吸収されないとされる。調査した水田ではセシウムが落ち葉や雑草にくっついて粘土に固定されず、落ち葉などが分解される夏ごろに水中に放出された。水田の土壌は水が染み込みにくいのでセシウムはそこにとどまり、稲が水分を吸い上げる際に一緒に取り込まれたと考えられるという。
塩沢昌、放射性セシウム、セシウム、東京電力、福島第1原子力発電所
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