2012年02月16日(木)
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本年度分の横領容疑 女性会計担当を告訴へ 県消防協会の使途不明金問題 過去の状況不明のまま「調査終了」
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山梨県消防協会の茂木満彦副会長(右)らが出席して開かれた第三者委員会=県庁 |
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山梨県消防協会(会長・横内正明知事)の使途不明金問題で、協会は15日までに、内部調査により会計担当者の30代女性職員が不明金を着服した疑いが強まったとして、業務上横領容疑で刑事告訴する方針を固めた。対象は女性職員が銀行口座から現金を引き出したことを認めた本年度分の約600万円とする予定。協会は同日の使途不明金問題に関する第三者委員会で、総額が、本年度分を含め2001年度以降から約1億400万円に上ることを発表。女性職員は協会の調査に対し、以前の引き出しについて「上司の指示があった」と話す一方、過去の上司はいずれも関与を否定。状況がはっきりしないまま、協会は「内部調査を終えた」としている。
協会によると、使途不明金は全て一つの銀行口座で取引され、預金通帳や印鑑は県協会の30代女性職員が管理していた。これまでの調査で、女性職員は本年度分だけで約600万円の引き出しを行っていたことが判明。協会は(1)現職の事務局長と次長は女性職員に指示をしていない(2)県協会の事業に使用していない(3)過去の損失を穴埋めした形跡がない−ことなどから、女性職員が本年度分について着服した可能性が高いと推定。本年度分について女性職員を業務上横領容疑で告訴する方針。不明金は協会が管理するため、告発ではなく告訴が適当と判断した。
調査に対し、女性職員は「口座は前任者から引き継いだ」と話し、口座からの現金の引き出し行為は認めているが、使途について「今は言いたくない」などと説明。日本消防協会が毎年度、業務を行う市町村に支払う事務費や返戻金について「上司の指示で、団員の多い市町村を除いて交付しなくなった」と話している。
一方、女性が勤務を始めた1998年以降の県協会の歴代事務局長・次長計7人(現職と故人1人を除く)は、全員が「(現金の引き出しなどを)指示したことはない」と関与を否定。ほとんどの事務局長らは「共済制度の仕組みすら知らなかった」「通帳の存在も分からなかった」と弁明した。ただ、事務局長の一人は「業務の一環でお金を用意するよう命じたことはある。領収書は女性に渡した」と説明している。
15日の第三者委員会では、協会が調査内容を報告。不明金の内訳は「福祉共済」「火災共済」「婦人消防隊員福祉共済」の三つの共済金に関するもので(1)日本消防協会などへの掛け金(2004〜11年度、10市町村分、計約5600万円)(2)消防団員36人と婦人消防団員1人への給付金(01〜11年度、計約2100万円)(3)日本協会が21市町村と甲府、甲州両市の一部に支払う事務費や返戻金(01〜11年度、計約2600万円)。調査の段階で、各市町村や日本協会に確認し、資料が残る01年度以降の不明金を確認しまとめた。
協会の存続を前提に抜本的な改善策も提案。県職員OBらに偏重した人事を見直すことや適切な会計処理、外部チェックの導入などを示した。県協会は損害賠償請求により原資を確保し、未払い金の支払いを行いたい考え。委員会終了後、宮原健一専務理事は「団員ら個人への給付金の支払いを優先的に行いたい。一通りの内部調査は終了した。後は警察の捜査権により、真相が明らかになることを期待する」と話した。
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