2011年12月20日 19時57分 更新:12月20日 20時4分
書籍を個人利用者が電子化する「自炊」行為の代行は著作権法に違反するとして、小説家や漫画家ら7人が20日、代行業者の「愛宕」と「スキャン×BANK」の2社に代行事業の差し止めを求めて東京地裁に提訴した。原告は浅田次郎さん、大沢在昌さん、永井豪さん、林真理子さん、東野圭吾さん、弘兼憲史さん、武論尊さんの7人。東京都内での記者会見で浅田さんは、「私の本が見ず知らずの人にいいようにされている」などと述べた。【栗原俊雄】
「自炊」は書籍をページごとにスキャナーなどでコンピューターに取り込み、電子ファイル化する行為。訴状によると両社は、個人利用者の注文を受け、著作者の許諾を得ずに、1冊数百円で自炊を行っている。
弁護団は利用者が個人的な目的で自炊を行う場合は、著作権法第30条で「私的使用のための複製」として認められているが、「業者が大規模に、ユーザーの発注を募ってスキャンを行う事業は複製権の侵害」と指摘。さらに事業者が大量に制作した電子ファイルがインターネットで拡散するなど、作家や出版社に深刻な影響を及ぼすと懸念している。
今年9月、作家や漫画家122人と出版7社が代行業者約100社に、複写を許可しないことを通知し、続行するかどうかを聞いたところ、2社が継続の意思を示したため、提訴に踏み切った。対象社を追加するかどうかは、今後の状況を見て判断するという。
訴えに対し「愛宕」は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。