2011年12月19日 11時31分 更新:12月19日 11時54分
関西電力と政府、関西広域連合が「昨冬比10%以上」を呼びかける冬の節電要請が19日、スタート。企業などでは節電しつつも能率を下げないための取り組みが本格的に始まった。この日の関西は多くの地域で最低気温が平年を上回ったことなどもあり、朝の電力需給には20%以上の余裕があったが、来年2月には最大で8%の電力不足が生じる恐れもある。節電達成には、ピーク時需要の3分の1を占める家庭での節電も必要だ。
この日の大阪の最低気温は6.2度と、平年(4.7度)を上回る穏やかな朝だった。朝夕2回ある電力需要のピークのうち、午前9~10時の使用電力は2172万キロワットと、この日の供給力(2782万キロワット)の78%にとどまった。
大阪府門真市のパナソニック本社はこの日から週2回、節電目的の定時退社日を設ける。夕方の節電に対する配慮だ。残業がどうしても必要な従業員には、部署の壁を超えて集まる残業部屋を用意する。ハウス食品(東大阪市)は、天井に風を送って暖気を循環させる目的で扇風機を用意。ロッカーや棚の上に置いて動かし、暖房効率を高める。同社は「細かい工夫を積み重ねて昨冬比11%の節電を達成したい」と意気込む。
暖房温度を下げたオフィスで快適に過ごす工夫も。NTT西日本(大阪市中央区)はこの日初めて、職場でフリースやタートルネックセーターの着用も認める「スーパーウォームビズ」を導入した。ピンク色のフリース姿の正井貴裕さん(32)は「軽くて仕事の邪魔にもならない。節電節電で気分が暗くならないようにこの色を選んだ」と話した。スポーツ用品メーカーのアシックスやミズノも、ジャンパーやフリースなど自社製品の着用を推奨する。
飲料自動販売機の節電も始まった。サントリーは関西エリアにある約9万台の自販機の一部で、冷却機能を一時停止。1台当たり24%の節電を見込む。
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大阪・道頓堀のシンボル「くいだおれ太郎」もこの日朝、電源を抜いて店頭に立った。今夏に続く節電への協力で、「冬のセツデンは寒さがこたえますなあ……」と吹き出しでぼやいた。電気仕掛けの太鼓は今月28日まではお預け。年末年始は街を盛り上げるため電源を入れるが、その後は電力需給の状況を見て判断するという。【横山三加子、新宮達、鈴木一也、武内彩】