日本とカンボジアとの和平協定の締結から20年目の節目となる今年、外務省は両国の交流をいっそう深めるため、俳優の向井理(むかい・おさむ)さんを親善大使に委嘱。その委嘱レセプションが18日夜、都内で行われた。
冒頭、元カンボジア大使で日本・カンボジア協会代表の今川幸雄氏は、「現在日本で最も人気の高い俳優さんと言えば向井さんだと思う。1日、玄葉光一郎外務大臣から親善大使に任命された。向井親善大使、おめでとうございます」と挨拶。また23日はカンボジア和平パリ協定の調印から20周年に当たるとして、「日本も参加して貢献したカンボジア和平のためのパリ国際会議の成果である。この重要な協定の調印以来、今日まで20年間。最初の約1年半は国連暫定統治機構(UNTAC)による平和維持活動が行われた」と説明し、同日の呼びかけ人の一人である阪口直人衆院議員(日本・カンボジア友好議員連盟事務局長)もUNTACに参加し、カンボジア和平に尽力した一人だと紹介した。
また「来る2012年、日本カンボジア間国交成立20周年に当たり、日本カンボジア間親善友好促進年となることが期待される。民主党が外務省と協力して対カンボジアの交流進展に努めていることに感謝したい」とした。
さらに向井さんの主役映画「僕たちは世界を変えることができない。」に言及し、「カンボジアに学校をつくるため真摯に努力する大学生を演じられた。カンボジアではすでになじみの深い向井理氏の親善大使の任命はまさに最適任」と、重ねて大きな期待感を示した。
続いてハオ・モ二ラット カンボジア王国特命全権大使が挨拶に立ち、「日本とカンボジアの歴史上はじめて俳優の向井理さんを親善大使に任命する日本政府の決断を歓迎し、喜ばしく思う。人的交流と友好関係は永遠のもの」と語り、二国間の文化・人的交流に刺激が与えられ、観光や投資分野、友好関係がさらに発展することを期待したいと語った。
向井さんは挨拶で、カンボジアとの出会いはテレビ番組収録のため1週間ほどカンボジア・タイの国境付近で暮らした約5年前だと明かした。「たった1週間だがたくさんのことを学んだ」と述べ、その後もカンボジアを忘れることなく勉強を重ねてきたが、今回映画撮影で改めて同国を訪れて1カ月ほど滞在するなかで新しいカンボジアの魅力を感じたと語った。
「とにかく行って何かを感じることができる、魅力がたくさん詰まっている国。ですから、このカンボジア親善大使は願っていたことでもある。責任を持って果たしたい」と表明。同時に「たくさんの人の力を借りて、これまでやったことがないことや、今まで仕事をしたことがなかった業界の人たちと力を合わせて、カンボジアの魅力をアピールしていけたらいいなと思っています」と述べ、「一番わかりやすい目標として直行便ができればいいと思っています」と抱負を語った。
そして映画のセリフ同様に、「愛とかボランティアとか僕も良くわかりませんが」と前置きしたうえで、「堅苦しいことは政治家さんにまかせて、僕ができるのは単純に自分の力を使って紹介していくことだと思っています。テレビで見るより生の方がいいと思うので、そういう意味で、カンボジアに行ってもらう機会を増やすのが一番。それに向けて全力でがんばっていきたいです」と表明した。