<会 議 の 名 称>
第1159回経営委員会
<会 議 日 時>
平成24年1月31日(火)午後1時30分から午後5時15分まで
<出 席 者>
〔委 員〕
◎ | 數 土 文 夫 | ○ | 安 田 喜 憲 | 石 島 辰太郎 | |
石 原 進 | 井 原 理 代 | 大 滝 精 一 | |||
勝 又 英 子 | 北 原 健 児 | 倉 田 真由美 | |||
幸 田 真 音 | 竹 中 ナ ミ | 浜 田 健一郎 |
◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。) |
〔役 員〕
松 本 会 長 | 小 野 副会長 | 永 井 技師長 | |
金 田 専務理事 | 大 西 理 事 | 今 井 理 事 | |
塚 田 理 事 | 吉 国 理 事 | 冷 水 理 事 | |
新 山 理 事 | 石 田 理 事 | 木 田 理 事 |
<場 所>
放送センター 21階役員会議室
<議 事>
議事に先立ち、経営委員による経営委員会を開催し、経営委員会事務局人事について同意。その後數土委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1154回(平成23年11月8日開催)以降の経営委員会における平成24年度予算編成に関する各回の審議経過および第1158回経営委員会(平成24年1月17日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成24年2月3日に公表することを決定した。
付議事項
1 議決事項
(2) NHK情報公開・個人情報保護審議委員会委員の委嘱について(資料)
(3) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)
(4) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について(資料)
2 報告事項
(1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について(資料)
(2) 視聴者対応報告(平成23年11・12月)について(資料)
(4) 地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について(資料)
3 報告事項
議事経過
1 議決事項
(1) 新仙台放送会館用地の隣接地取得について(資料)
(石田理事)
仙台放送会館用地については、当初取得分として、ホテル仙台プラザほか跡地を購入済みですが、昨年8月の経営委員会でご説明したとおり、取得交渉を進めてきました「隣接地」について、所有者と条件の合意に達しましたので、取得についてお諮りするものです。
それでは2ページ、「1 取得予定地の概要」をご覧ください。取得予定地は、仙台市青葉区本町2丁目20番1で、敷地面積は1,033.99m2。商業地域で建ぺい率80%、容積率500%です。参考として下の表に現会館との比較を掲載しています。新会館の敷地面積は、今回の取得分と合わせて6,556.46m2となり、現会館の敷地より277m2ほど広くなります。
「2 移転用地の取得」をご覧ください。取得先は仙台市です。契約額は5億円です。不動産鑑定評価に照らしながら、所有者との折衝により、合意に至った額です。契約日などは、契約・支払共に経営委員会で議決後の2月上旬を予定しています。
新会館整備スケジュールについては、平成30年度の運用開始の予定ですが、整備計画の検討期間の短縮や建築工事の施工期間の見直しなどにより、半年程度スケジュールの前倒しを検討しています。現在は仙台局において整備計画や、「ホテル仙台プラザ」、「斎藤報恩会館」の建物撤去の準備を進めています。
採決の結果、原案どおり議決。
(2) NHK情報公開・個人情報保護審議委員会委員の委嘱について(資料)
(小野副会長)
NHK情報公開・個人情報保護審議委員会は、NHKに情報公開を求めた視聴者が、NHKの不開示等の判断に不服を申し立てた場合に、中立的な立場から意見を申し述べる第三者委員会です。委員は5名で構成されており、今回、米倉久邦氏が2月末で任期切れを迎えますが、引き続き委員をお願いし、3月1日付で再委嘱したいと考えています。任期は2年です。審議委員の委嘱は、定款第13条第1項第1号ノの規定により、経営委員会の議決事項になっています。なお、次ページに米倉氏の略歴を付けています。
採決の結果、原案どおり議決。
(3) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)
(木田理事)
福井俊彦氏(前日本銀行総裁)に、3期目の中央放送番組審議会委員の委嘱をお願いしたいと思います。平成24年度からの次期経営計画では、達成状況の評価・管理にあたって中央放送番組審議会委員の意見を参考にして放送の質的評価を補うことにしています。この新しい仕組みの導入を円滑に行うためにも、委員長として2年あまりにわたり、会議の運営にあたって的確な意見をいただいてきた福井氏の力が、ぜひとも必要であると考えました。任期は平成24年4月9日から2年です。定款第66条第2項の規定により同意をお願いします。
採決の結果、原案どおり議決。
(4) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について(資料)
(永井技師長)
設置に向けて諸条件が整いました4府県5地区に地上デジタルテレビジョン中継放送局を設置したいという件です。内訳は、新たな難視地区が4地区、ローカル難視地区1地区に設置する難視対策中継放送局です。いずれの地区も平成24年度に開局する予定です。各都道府県における地区名についてはお手元の表に書かれたとおりです。予算については5地区で2.3億円と見込んでいます。電波のカバー率は23年12月末で98.0%、今回提案5地区を加えるとこれまでに2,150地区の設置計画の提案を終えています。新たに難視地区やデジタル混信地区の中継局を設置することを検討していますが、諸条件が整いしだい、設置計画を提案していきます。今回設置計画が承認されましたら、各中継局の免許申請手続などの準備に入っていくことになります。
採決の結果、原案どおり議決。
2 報告事項
(1) 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について(資料)
(永井技師長)
設置計画に基づいて建設をとり進めてきた中継局のうち昨年7月1日から12月末までに7件、10地区で開局しました。兵庫県の姫路東播磨地区と、福岡県の大牟田甘木地区はデジタル混信の対策中継局で、残り8地区は新たな難視地区の対策中継局になります。各局の送信チャンネル、申請世帯数などはお手元の表のとおりです。平成23年12月末までに累計で2,133局を開局し、全国の視聴可能世帯カバー率は98.0%となっています。今回の建設にかかった経費はおよそ2億円です。
(倉田委員) |
カバー率が100%でないということはデジタル放送の難視地区がいまだに存在するということですか。 |
(永井技師長) |
98.0%は中継局の電波によってカバーしているエリアです。残りの2.0%のうち約1.5%は難視共聴である自主共聴とNHK共聴でカバーしており、残りの0.5%は衛星によるセーフティネットでカバーしています。 |
(倉田委員) |
デジタル放送が視聴できないという世帯はもうないということですね。 |
(永井技師長) |
ありません。デジタル化は終わったのですが、今後は、衛星によるセーフティネットでご覧いただいているエリアに中継放送局を設置したり、受信設備を整備してローカル放送がきちんと見られる対策をとっていくということです。 |
(2) 視聴者対応報告(平成23年11・12月)について(資料)
(3) 契約・収納活動の状況(平成23年12月末)(資料)
(4) 地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について(資料)
(數土委員長)
報告事項(2)、(3)、(4)については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきたいと思います。私からお願いですが、収納額、契約総数増加、衛星契約増加の実績については、数字を出していただいて本当にありがたいと思っています。これに基づいて、さらに業務の効率化が進むように、種々の解析データとして使っていただき、われわれにもまた報告していただけたらと思っていますので、よろしくお願いいたします。
(5) 平成23年度第3四半期業務報告(資料)
(松本会長)
平成23年度第3四半期は、前期に引き続いて東日本大震災や東京電力福島第一原発事故関連のニュースや番組を多角的に放送してきました。特にNHK独自の調査や取材に基づく各番組は、公共放送ならではの番組として提供しました。一方、収入面では、第3四半期は、東日本大震災やアナログ放送終了に伴う受信契約の解約などによる上半期の落ち込みを挽回することに力を入れました。契約総数増加、衛星契約増加ともに、前年度実績に届くまでには至っていませんが、引き続き営業の取り組みを強化していきたいと思います。現在の3か年の経営計画も、最後の四半期は仕上げの期間ということです。新しい計画は昨年10月に議決していただいて、この4月からスタートします。現経営計画の最後のこの四半期は、「受信料の支払率の向上」と「接触者率の向上」という経営2目標をはじめとする各目標の最終的な達成を目指します。そして、これまでの3か年を総括したうえで、新しい計画に着実に踏み出せるように努めていきます。
(石田理事)
お手元の冊子に基づいてご説明します。
目次は省略して、3ページ、「今期の概況」からです。まず、経営2目標の1つ、「接触者率向上への取り組み」についてです。11月に全国接触者率調査、全国個人視聴率調査、放送評価調査の、いわゆる放送3調査を実施しました。まず、接触者率の表をご覧ください。一番右側の欄に記してありますが、放送と放送外を含めた全体リーチは76.7%でした。全体として大きな変化はありませんでしたが、一番下の欄の放送外リーチは27.9%となり、1年前の調査に比べ6.7%増え、統計的に有意に上昇しました。録画再生だけでなく、公式のウエブサイトや、NHKがコンテンツを提供しているサイトなどの視聴も増えています。放送外リーチは、増加傾向が続いています。次に、全国個人視聴率調査です。総合テレビの週間接触者率を見ますと、女性30代や40代で増加傾向が見られました。女性視聴者を対象とした番組など、さまざまな試みの成果が出た形となっています。また、朝の「連続テレビ小説」は、2年連続で視聴率が増加しています。第3四半期からスタートした「カーネーション」は、連日20%超えを記録するなどよく見られています。「第62回NHK紅白歌合戦」も、第2部の世帯視聴率が41.6%(ビデオリサーチ・関東)と4年続けて40%を超え、特に仙台地区や福島地区などで大変よく見ていただきました。ページ右下のグラフをご覧ください。NHKの放送に対する視聴者の評価を調査したものです。このうち「親しみ」は、経営目標としている50%を超え54%と、高い数字を今回も維持しています。
次に4ページ、もう1つの経営目標「支払率向上への取り組み」です。この第3四半期は、東日本大震災やアナログ放送終了に伴う受信契約の解約などの影響を受けた上半期の遅れを早期に挽回することに力を入れました。このページの中央にある横長の表にその結果を記しました。右半分の実績の欄にあるとおり、契約総数は、年間の累計で31.4万件の増加、衛星契約は年間累計で57.0万件の増加となりました。左側の列の前年同期の実績と比較しますと、いずれも実数で下回っています。特に衛星契約の増加は、アナログ放送終了の影響を考慮しても前年を下回る水準となっています。デジタル移行後の衛星普及の鈍化に対応するため、衛星の取次活動をはじめ、営業活動をさらに強化し、経営目標としている支払率75%の達成を目指します。
次に5ページ、「収支の概況」です。下の2つの表をご覧ください。上が事業収支、下が受信料収入の状況を記したものです。まず事業収支については、12月までの累計で、収入が5,241億円、支出が5,002億円となっています。予算から見た進捗率は収入が75.7%、支出が72.6%で、事業収支差金は239億円となっており、総じて順調に推移しています。受信料収入については、先ほどご説明したとおり契約総数増加、衛星契約増加とも前年度同期の実績を下回っていますが、受信料収入は5,049億円と前年度比で105億円の増収になっています。年度末に向けた見通しですが、今年度予算で見込んだ受信料収入の6,680億円は確保できる見通しです。しかし、24年度からは受信料の値下げを予定しており、さらなる増収を図る必要があると考えています。
続いて7ページです。ここからは経営9方針ごとに事業計画の執行状況についてポイントを絞ってご説明します。
まず、方針1「視聴者のみなさまの信頼を高めるため組織風土改革に全力をあげます」です。10月25日、次期経営計画、「豊かで安心、たしかな未来へ 平成24〜26年度 NHK経営計画」が議決され、当日発表しました。左の列に写真を掲載しましたが、発表当日と10月30日に番組で計画のねらいや内容を詳しく伝えました。発表当日の夜8時台の番組は、視聴率が10.4%となり、高い関心を寄せていただいていることが示されました。
続いて8ページ、方針2「日本の課題、地球規模の課題に真正面から向きあいます」です。今期も東日本大震災と福島第一原発事故に関する報道や番組制作に全局を挙げて取り組みました。このうちNHKスペシャルは6本放送しました。左下に写真を掲載しましたが、これまで知られていなかった原子炉内部のメルトダウンの実態を、独自取材によって明らかにしました。また、9ページ左下に記しましたが、スペシャルドラマ「坂の上の雲」第3部完結編を、12月に4週にわたって放送しました。これまで13回の平均世帯視聴率は14.4%で、「明治の日本の前向きな姿に励まされる」などの声が寄せられました。
続いて10ページ、方針3「放送・通信融合時代の新サービスで、公共放送の役割を果たします」です。冒頭でもご説明しましたが、全国接触者率調査の結果、放送外リーチが顕著に伸びました。このページの右下の最後に記しましたが、NHKの衛星放送が米国電気電子学会から「IEEEマイルストーン」の認定を受けました。世界初の衛星放送の開始と、長年の研究開発の功績が評価されました。この認定は、日本では東海道新幹線なども過去に受けています。
続いて11ページ、方針4「地域を元気にするための拠点となります」です。この第3四半期も、各放送局が東日本大震災の被災地の復興を応援する放送に力を入れました。また、写真にもありますが、応援イベントにも力を入れました。「忍たま乱太郎」「おじゃる丸」などNHKの番組キャラクターがステージカーで東北4県の仮設住宅や幼稚園・保育園を巡回し、のべ50会場で57公演しました。また、群馬県と栃木県での県域テレビ放送については、12月9日に電波監理審議会の答申が出され、ことし4月1日からの放送開始に向け、取材体制の強化など本格的に準備をスタートさせました。
続いて13ページ、方針5「日本を、そしてアジアを、世界に伝えます」です。国際放送では、12月のキム・ジョンイル総書記の死去について専門家のスタジオ解説や、海外ネットワークを生かした特派員のリポートを交え、分厚く伝えました。「NHKワールドTV」の24時間視聴可能世帯の広がりは、第3四半期末で1億4,600万世帯となり、上方修正した1億5,000万の目標に近づきました。
14ページ、方針6「円滑な完全デジタル化に向けて重点的に取り組みます」です。7月24日のアナログ放送の終了後、衛星セーフティネットで暫定的に対応している難視地域における恒久対策を進めました。東北3県については、アナログ放送の終了が3月31日と迫り、周知のため民放などと連携し、“常時告知スーパー”を実施しました。
続いて、15ページ、方針7「構造改革を推し進め効率的な体制で受信料の価値をより大きくします」です。副次収入については、震災の影響で遅れていた提案が多く出され、特に11月は提案額の実績では今年度最高となりました。これを受けて、23年度の副次収入総額は12月末で56.6億円と伸びました。しかし、目標の93億円に対する達成率は60.9%、前年同期比では1億円の減となり、厳しい状況が続いています。
次に16ページ、方針8「受信料を公平に負担していただくための取り組みを強化します」です。今期の概況でご説明したとおり、アナログ放送の終了や東日本大震災の影響などで、契約総数、衛星契約増加ともに前年を下回っています。未契約者への民事手続きについては、11月に初めて未契約世帯への民事訴訟を提起しました。
17ページ、方針9「環境経営に着実に取り組みます」です。ページの右下に写真を掲載しましたが、3年計画で進めてきた放送センターの太陽光発電設備が完成しました。また、全国の8放送局に太陽光発電設備を整備する計画は、長野、千葉など6局で工事が完了しました。平成23年度第3四半期の業務報告の説明は以上です。
(石原委員) |
3ページの全国接触者率調査の表に、全体リーチ、放送リーチ、放送外リーチとありますが、放送リーチと放送外リーチを足すと全体リーチ76.7%になりません。そして放送リーチの増え方以上に放送外リーチは増えています。全体リーチは増えているから、これでいいのだと安心していいのかどうかです。放送外リーチが急激に増えているということは、今はインターネットでの同時放送は実施していないので、SNSなどで見ているということなのですか。 |
(石田理事) |
後ほど木田理事に説明していただきますが、放送外リーチは、インターネットなどでNHKのコンテンツに触れている人のほかに、録画して見ている人もかなりいらっしゃって、それも放送外リーチに入っています。 |
(石原委員) |
放送と通信の融合が重要なテーマとしてありますが、放送外リーチが急激に増えているということがNHKの受信料収入にどのような影響があるのか、どう見たらいいのでしょうか。 |
(木田理事) |
放送外リーチというのは、3分の2ぐらいが録画での視聴です。インターネットでのリーチも伸びてはいるのですが、3分の1程度であり、そんなに目立って伸びていません。放送リーチと放送外リーチを足して全体リーチ76.7%にならないのは、NHKの放送を見ている方で、録画も見ている方がたくさんいらっしゃるということです。もちろん、放送外リーチについて、インターネットなどへの注目は必要だとは思いますが、今のところ、来年、再来年にどうするというような大きな脅威までには至っておらず、やはり放送が中心になると考えています。 |
(石原委員) |
NHKとしては、この2つの数字が増えていることは大変いいことだと考えていいということですか。 |
(木田理事) |
今のところ、そのように考えています。 |
(松本会長) |
放送外リーチは、NHKに関与するということですので、今の規模であればいいと思います。しかし、接触者率を保つためにNHKの一番大事なコンテンツを流出させてはいけないと思っています。その点をよく考えながら、放送以外の手段をどう使うかは、NHKに主体があるようにしないといけません。いろいろなメディア関連のものを一体的に管理していかなければいけませんので、組織改正を検討し、ばらばらに行っている業務を統一して、方針をきちんと確立したうえで実施するようにしたいと考えています。 |
(石原委員) |
民放キー局5社が、放送中の番組に連動して過去放送回などの「見逃し番組」を有料で提供する、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス「もっとTV(テレビ)」にNHKも参加するという記事を新聞で見ましたが、それと放送外リーチはどういう関係になるのでしょうか。放送リーチは急速に減って、VODなどの放送外リーチがこれから増えていくかもしれません。それが、NHKの経営にどういう影響が出てくるのでしょうか。 |
(松本会長) |
NHKはもともとNOD(NHKオンディマンド)サービスを提供しています。今度、民放がプラットフォームを作って、VODを実施することになりましたので、それにNHKが参加していくことがよいのかどうかという議論がありました。いろいろ検討した結果、そのプラットフォームを使えば、どの放送番組からもNHKのNODにも入っていけるということですから、参加してもいいのではないかということになりました。 |
(石原委員) |
NHKのNODと一緒に民放のVODサービスが提供されるということですか。 |
(松本会長) |
プラットフォームに民放のオンデマンドサービス全般が提供されるので、その中にNHKのNODも入るということです。参加しないと、NHKだけサービスが提供されないということになりますので、むしろNODを増強するためにも、参加したほうがいいのではないかということです。民放としてもやはりNHKに参加してもらったほうが全体の価値が上がるということもあり、最終的に、NHKは参加することにしました。これは戦略的にもプラスになるということです。 |
(石原委員) |
プラットフォームが大きくなれば、NHKの増収にもつながるということですか。 |
(松本会長) |
そうです。プラスになるということで、参加することにしました。 |
(石原委員) |
いずれにしても、放送リーチが急激に減ってきたら、危機感を持たなければならないのではないでしょうか。 |
(松本会長) |
接触者率をどう考えるかですが、数字を上げることが目的ではなく、NHKにプラスになるものは増強していき、結果、リーチでの数値となって表れてくるという考え方です。したがって、ある意味では、今までは接触者率を上げようということで取り組んできましたが、考え方を変えて、NHKに有利になるものは増やしていこうということです。 |
(石原委員) |
今度の新しい中期計画では、接触者率はたしか目標に入っていなかったのではないでしょうか。 |
(松本会長) |
目標には入っていませんが、継続性の問題もありますので、指標に入れています。ただし、NHKのいいコンテンツをどんどん提供していけば接触者率が上がる可能性があったのですが、NHKがこのままコンテンツをどんどん提供し続けていれば資産を失うことにもなるのです。したがって、最終的には受信料、収入に結びつくかどうか、NHK全体にとってプラスになるかどうかのフィルターをかけて接触者率を見ていくということです。大きな目標は、NHK自体が視聴者から支持を得られるかどうかという評価システムにありますので、その大きな目標に向かって、みんなが収れんして仕事をしていくということです。参考にする指標という形で接触者率は残しており、NHKにプラスになるような接触者率、リーチを上げていくということです。 |
(幸田委員) |
漠然とした言い方になりますが、近年は経済の競争構造がずいぶん変わってきていることへの認識が必要かと思います。卑近な例で言うと、コダックの破綻劇などは過去の成功体験に固執して業務転換できなかったからだと分析されていますが、石原委員が指摘されたように、この数値をどう読むかということです。今は大丈夫と考えていても、あるとき突然対応できなくなるということもありえます。例えば先ほどのお話の関連で、「NOTTV」には、携帯電話会社という新しい業態が進出しています。将来だれとどういう競争に勝ち抜いていくのか、競争相手や、競争構造は大きく変わってきているという認識を基本的に持っていないといけないと思うのです。改めて言うことではないかもしれませんが、時代の変化や流れをどう読むかということについては、先回りして考えておかないといけないですし、そういう視点はぜひ持っていただきたいと思います。 |
(大滝委員) |
先ほどご説明のあった4ページの衛星契約について、アナログ停波の影響を差し引いても、普及がかなり鈍化しているというお話がありましたが、理由そのものは衛星普及鈍化なのかもしれませんが、もう少し中期的に見て、どのように推移していくのかが重要だと思います。経営計画を策定するときには、むしろ衛星契約はどんどん増えていくのではないかという話もたしかあったのではないかと思いますが、少なくとも今の推移を見る限りは、結構厳しい数字ではないかと思います。その辺をどのようにお考えになっているのか、あるいは、どのようにこの先を見通されているかということについて、少しお考えをお聞きしたいと思います。 |
(松本会長) |
衛星契約は、新しい3か年計画策定当初から高い目標と思っていました。24年度年間増加目標は72万件で、かなり頑張った数字なのです。しかし、目いっぱいの目標を立てないと計画全体が成り立ちませんので、それは達成していこうということです。その覚悟を決めた数字が810億円の増収で、プロジェクトも進めながらいろいろな改革も行い、やり切ろうと考えています。 |
(井原委員) |
全体の報告を聞いての感想、あるいは若干お願いしたいと思ったことがあります。前回の第2四半期の業務報告の際にも意見として出されましたが、大変分かりやすい報告になっていると思いながらお聞きしました。ただし、あえて、願わくばと思ったことがあります。それは、先ほど会長が、現経営計画において残された2か月での計画の遂行を総括しつつ、次期計画に確実に踏み出せるようにしていきたい旨のことをおっしゃったことについてです。まさにそのことが表れているような業務報告であれば、より効果的だったのではないかという思いがあります。具体的に申し上げますと、「課題・今後の取り組み」の記載に、例えば方針1の中では、そのようなことがきちんと明記されているのですが、「支払率の向上への取り組み」では、「現経営計画の経営目標の支払率75%の達成をめざす」との表記にとどまっています。今お話がありました次期経営計画の「プロジェクト810」を視野に置いた取り組みがうかがえるような「課題・今後の取り組み」の書きぶりがあってほしかったと思うのです。そういう記載があることによって、NHKとしてこの段階で、より効果的なあるいは前向きな業務報告になったのではないかと思います。今後、たぶんさまざまな観点から、現計画を総括していくことになると思いますので、先ほどの会長のお話のように、あるいは方針1で書かれているような、次期経営計画につなげていく「課題・今後の取り組み」の検討や記載にご留意いただけたらありがたいと思いました。 |
(松本会長) |
次の経営計画については、十分に議論していただいたので、すでにわれわれではギアチェンジをして、そちらを向いています。しかし、現計画は最後の段階ですので、きちんと遂行するということです。今みんなで話していることは、次の計画に出発するスタートラインを円滑に出発したいということです。本当はそういうことを記載したいのですが、なかなか端的に書くことは難しいということです。 |
(井原委員) |
まさにおっしゃったように、今、畑を耕しておいたら次期に刈り取ることができるというニュアンスのお話をよく伺うものですから、今後の取り組みの記載も、そういうことがにじみ出るような内容であればいいなと思ったのです。 |
(松本会長) |
それについては、次の経営計画に盛り込んでいます。例えば営業の「プロジェクト810」での改革も、今すでに準備をして、一部スタートしています。そういう事柄が現経営計画と並行して流れているのです。 |
(井原委員) |
「課題・今後の取り組み」という欄をきちんと設けておられるので、23年度の第1四半期の今後の取り組みであればいいのですが、今年度がわずかに残された時点での今後の取り組みとしては、次期経営計画につながることを書いてもいいのではないかと思ったのです。 |
(松本会長) |
私もそのように思っています。現経営計画を踏まえて記載しているということですので、ご理解をよろしくお願いします。 |
(井原委員) |
そのことは理解しておりますので、当然お考えだと思いますが、今後はさらにそのような工夫をよろしくお願いします。 |
(石島委員) |
先ほど石原委員のご意見をもとに議論がありましたが、NHKがネットテレビに参加するという新聞記事をきょう拝見しました。お話を伺っていますと、NHKとしてはNODをリンクさせる形で提供するということですが、「もっとTV」は、いわゆる昔からある日本版「Hulu」というビジネスモデルにあたるのかなと思っています。新しいビジネスモデルに乗ってデジタル経営を行うとすれば、やはりそれなりに今のNODのビジネスモデルとのマッチングがどうなのかということはぜひ検討して、説明していただきたいと思います。また、同じことですが、例えばハイブリッドキャストみたいなものが、将来のビジネスの中でどのようにNHKの経営に生きてくるのかも含めて、これは永井技師長にお願いすることかもしれませんが、折に触れて少し説明していただけるとありがたいと思います。今まで経営委員会の場で、このような話題が出たことがなかったのですが、今回このような話が出ましたので、お願いしたいと思いました。 |
(石田理事) |
まず、「もっとTV」については、1月26日に民放キー局と電通が共同で推進するテレビ向けVODサービスとして発表しているのですが、NODとバッティングするということではなくて、例えばテレビ朝日5チャンネルを見ていてVODボタンを押すと、そのままテレビ朝日のVODにつながるというものです。それぞれの民放を見ていて、VODボタンを押せば、その局のVODにつながるのですが、NHKが参加していないと、そのVODボタンを押した際、民放のVODが並んでいる共通の画面にNHKのNODは表示されないということになるのです。今回、民放連からNHKに対して、こういうものを始めるのでNHKも一緒に参加してくれないかという話があり、内部でいろいろ検討しました。会長が言ったように、前向きに検討するということですが、設備の関係や、NODは会計を分離することになっていますのでその問題をどうするのか、また初期投資がどのくらいかかるかとかいうことなど、参加する方法についていろいろと検討しています。たしか日本経済新聞にはNHKも4月からと書いてあったのですが、4月には間に合わないと思っています。民放キー局と電通には「できるだけ早く進めるよう検討します」とお答えしています。永井技師長から補足があると思いますが、技術的な課題や経理上の問題を検討して、できれば参加するということです。今、石島委員がおっしゃったように、確かに日本版「Hulu」のような部分もありますが、民放の人たちと話していると、放送と通信の融合時代になると、NHKも民放もお互い協力できることはテレビ局として協力していこうという機運が出てきており、民放からNHKも一緒に参加しないかという話がありましたので、いろいろ検討した結果、すぐにはできないのですが、足並みをそろえて前向きに対応していこうということです。NHKのNOD事業とバッティングするようなことではないとご理解いただきたいと思います。 |
(石島委員) |
NOD事業とバッティングすることを心配しているわけではなくて、そういうプラットフォームが生まれると、たぶん新しいビジネスモデルがそこから出てくるはずだと思います。スタートアップのときは、確かに各社のリンクページだけの運用になるかもしれませんが、例えば料金の徴収システムなどいろいろなことが、中期的に見れば、恐らく一つのビジネスモデルに収れんしていくのだと思います。私も日本で「Hulu」の会員になっていますが、「Hulu」のいいところは、均質な料金で、「Hulu」の提供するあらゆる資源にアクセスできるということです。つまり、特別な付加料金があって、番組ごとに、この番組はいくらというようなものもありません。しかし、今のNODには番組ごとの料金付加という面もありますので、積極的に進めていただくのは私も賛成ですが、今後、一つのビジネスモデルとして均質料金の方向に行かざるを得なくなるのではないかということも今から検討しながら進めていただきたいというお願いです。 |
(永井技師長) |
今お話があったとおりで、今回民放のVODにNHKが参加するということは、NHKにとってNODの売り場を広げるという観点があります。課金の仕組みについては、今回値付けは各社によってばらばらです。「Hulu」のように統一的な料金にはまだなりません。ただし、今までは放送事業者がばらばらで動いていたものが、みんなで一緒に仕組みを作ろうということになったのは非常に重要なことだと受け止めています。 |
(松本会長) |
今、石島委員がおっしゃったようなことについては、将来に向けて、われわれがプラスになるような形で切り開いて行きたいと思います。 |
(石島委員) |
よろしくお願いいたします。 |
(石原委員) |
今のお話に関連して、NODは著作権の問題で大変苦労しています。「もっとTV」については、その点はどのようになるのでしょうか。有料で提供するのであれば、著作権が絡んできます。 |
(松本会長) |
各社のVODはすべて著作権を処理して、提供しています。 |
(石原委員) |
そうすると、見逃したからといって、すぐにそれを提供できるという話にはならないのではないですか。 |
(松本会長) |
そうですね。オールライツでVODまでの権利込みで契約していればいいのですが、そうでない場合、それぞれ著作権処理しながら提供することになります。 |
(石島委員) |
そうすると、アドバルーンを上げたけれども具体的にどうするか、まだ決まっていないことが相当あるということですね。 |
(永井技師長) |
民放はNHKに比べて少ない本数になると思います。 |
(數土委員長) |
今の一連の議論は非常に重要だと思います。われわれも勉強会を開催しようと思っていますが、やはり肝心なのは、将来、放送と通信の融合の中で全体的にどのようにしてNHKの資産価値を高めながら財産を放出せずにしっかり経営を行っていくかだと思います。しかも、民放とどうやって折り合いをつけていくかです。そういうことについては、具体論を交えたほうがいいと思いますが、完璧なものを作ろうと思っても、なかなか作れないと思いますので、一回ラフストーリーを作っていただいて、それをわれわれに開示するようなことを繰り返していただけないかと思います。とにかく全体像が見えるように、また問題点も箇条書きなどで分かりやすく整理して、われわれの理解のためにもそれをブラッシュアップするという方法を取っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 |
(勝又委員) |
今のお話や先ほどの井原委員のご意見にもつながるのですが、今回は第3四半期ですのでこういう書き方になるのだと思いますが、経営2目標や9つの方針の一つ一つに対して、今後の課題は何かというように、こま切れでしか出てきていないと思います。今話されたように、これからのNHKの大きな課題は何なのか、どこが一番重要だと思っているのかが今回の報告の中には書かれておらず、次の3か年経営計画につながりにくいので、次の第4四半期の報告では、最初に会長が概況をお話しになるような大きな課題を付けていただきたいので、よろしくお願いします。 |
(數土委員長) |
大変有益な意見交換が行われたと思います。これについては継続審議ということで、お願いしておきます。 |
(松本会長) |
今のご意見について、次の第4四半期の報告では工夫してみます。 |
3 報告事項
(1) 営業改革推進委員会の取り組みについて
(2) 「営業経費関係データ」に関する報告(11月末)
(小野副会長)
今回は、2回目の報告になりますが、3点ご報告させていただきます。衛星契約増加をはじめ24年度以降の次期経営計画で810億円の増収を確実に進めるための全局運動としての「プロジェクト810」の取り組み状況、訪問による営業活動を減らすための取り組みの進捗状況、および「営業経費関係データ報告に関する経営委員会の意思決定」にしたがって営業データを経営委員会にご報告します。
※内部検討情報につき、内容は非公表
(數土委員長)
冷水理事からオリンピックの放送権に関してご報告があるとのことです。
(冷水理事)
オリンピックの放送権についてです。2014年の冬期オリンピックはソチで開かれます。2016年のリオデジャネイロでの開催は夏季の大会です。この2つのオリンピックの放送権交渉が合意に達しました。お手元の資料にありますように、オリンピックの放送権は、大前提として、NHKと社団法人日本民間放送連盟との間で、ジャパン・コンソーシアム(JC)という放送機構を作り、国際オリンピック委員会(IOC)と協議する方式を以前から続けています。今回は昨年の秋から交渉を続けてきましたが、先週末までに合意に達しました。放送権料は、ソチ、リオデジャネイロの2大会合わせて360億円です。これには、国内のテレビ、ラジオの放送のほかに、インターネットやモバイルなど、すべてのメディアの権利が含まれることになっています。
(勝又委員) |
すべてのメディアの放送権利ということですが、今まで国際放送のニュースでは、画像は出せませんという表示がされましたが、あれはどうなるのでしょうか。 |
(冷水理事) |
放送権は各国ごとにそれぞれ分かれていますので、日本国内でという前提です。 |
上記のとおり確認する。
平成24年2月14日 |
數 土 文 夫 |
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井 原 理 代 |
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