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【北陸発】

金沢J・T・P 介護事業指定取り消し 不正請求 虚偽報告 県、4事業所処分

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刑事告発は「他県見て」

 金沢市の老人福祉施設運営会社「ジェー・ティ・ピー」(J・T・P)と関連会社の「清泉の宿」(金沢市)が、介護報酬を不正に受けた疑いがある問題で、石川県は十四日、両社が運営する九事業所に指定の取り消しなどの行政処分を出した。介護報酬の不正請求や職員の勤務実績の虚偽報告などを認定した。介護保険法に基づく事業指定の取り消しは同県で初めて。

 処分は、指定取り消しのほか、すべてのサービスの停止や、新たな利用者の受け入れ停止など。

 県によると、J社は訪問介護や通所介護などの十二事業所、清泉の宿は十五事業所を運営している。

 最も重い指定取り消しとなったのは金沢市と野々市市、穴水町の四事業所。このうち、通所介護事業所「清水の里デイサービスセンター福久みずき館」(金沢市荒屋)で、介護報酬の不正請求を認定した。期間は二〇一〇年十月〜一一年三月で、規定を超える金額の請求を重ねた行為を「悪質」と判断。不正受給額は加算金を含めて約八百八十万円と算出した。

 県によると、両社は複数の事業所で、介護職員や看護職員を適正に配置せず、県の調査にうその勤務実績を報告した。さらに、J社は、実際には勤務していない職員の名前を入れた出勤簿を作成したほか、勤務できる見込みのない人物の名前を記載した虚偽の書類を県に届け出て、新たな事業所の指定を受けていたことも判明した。

 県長寿社会課の担当者は取材に「従業員の配置などを調べる実地指導はこれまでにも各事業所で行ってきたが、うその書類をそろえられ、見抜くことができなかった」と説明した。

 また、介護報酬の不正請求をめぐり、他の自治体では刑事告訴・告発に踏み切った事例もあるが、担当者は「現段階では答えられない。他県の事例を参考にして判断する」と話すにとどめた。

 県は、外部から「従業員の水増し申告などの不正がある」との通報を受け、昨年三月下旬、調査に着手。複数の従業員に聞き取りをしたほか、勤務表や出勤簿の提出を求め、実態を調べていた。

  ジェー・ティ・ピーと清泉の宿  ジェー・ティ・ピーは1987年設立。不動産や飲食、カラオケ、ペット用品販売などを展開し、95年に現社名に。現在は主に有料老人ホームや介護施設を運営する。関連会社の清泉の宿は、2005年8月に設立。同じ男性が一時期、両社の社長を務めた。

 

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