コーヒー競争、ホットに 外食産業、集客へ差別化図る

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日本マクドナルドの原田泳幸会長兼社長が17日、来店者に新しいプレミアムローストコーヒーを振る舞った=東京都港区

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喫茶店市場の規模

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コーヒー専門店とマクドナルドの規模は

 コーヒー好きのお客をめぐって、外食産業の競争が激しくなっている。ファストフード店は、低価格ながら本格的な味のコーヒーを用意し、食事だけではなく「カフェ」として利用してもらうことを狙う。一方のコーヒー専門店は、味に加えて「居心地」を磨き、お客を増やそうとしている。

■ファストフード 味重視

 日本マクドナルドホールディングスは17日までに、全店でコーヒーの入れ方を見直した。「より深く焙煎(ばいせん)し、最近の流行にあわせて深みとコクを強化した」(開発責任者)という。

 マクドナルドが新メニューの開発などコーヒーに力を入れ出したのは2008年。その後、モスフードサービスが有機栽培の豆を使ったり日本ケンタッキー・フライド・チキンがひきたてコーヒーを出したりして、ファストフード店の「カフェ化」が進んだ。店が多くて立ち寄りやすく価格も安いことが強みで、各社とも食事時以外の客を増やした。

 マクドナルドがコーヒーの味を変えるのは、その08年以来。原田泳幸会長兼社長は「年配のお客さんが朝食などに来る数が増えた。コーヒーを飲む客はリピート率が高い」と期待する。

 喫茶店(コーヒー専門チェーンを含む)市場は、1982年の1兆7396億円をピークに減り始め、10年は1兆104億円まで落ち込んだ。減少傾向の大きな理由のひとつは、統計に含まれないファストフード店がコーヒーを強化したことがある。

■専門チェーン 居心地磨く

 一方、コーヒーが「本業」の専門チェーンは、店づくりに力を入れて売り上げを増やそうとしている。

 ドトールやエクセルシオールなど1400店を展開するドトール・日レスホールディングスは3月以降、新たに開く30〜40店のうち半分弱を、今までの店の2倍近い面積に広げる。店内のデザインも変え、禁煙店も増やし、女性客を呼び込む狙いだ。「おしゃれじゃないというイメージを変えたい」(広報)という。

 約450店を展開するタリーズコーヒージャパンは、ケーキやデザートを充実させて女性客を増やした。約650店を展開するUCC上島珈琲グループは落ち着いてコーヒーを楽しめるよう、「珈琲館」など、従業員が席までコーヒーを運ぶフルサービス型の店作りに力を入れている。

 スターバックスコーヒージャパンは郊外への出店を増やしている。今年度は44店を新たに出し、さらなる拡大にも意欲的だ。特長はソファなどを配した店内。「店を家庭、職場・学校に次ぐ第3の居場所にしてもらう狙い。居心地や雰囲気も重視し、ファストフード店とは違う層のお客を取り込みたい」と話す。(古谷祐伸、西村宏治)

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