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オズ・インター、薬事違反で送検、法令順守甘い認識、「まじめにやっているのに捕まった」

今年9月、警察庁主導の下、3都府県の警察(警視庁、大阪府警、千葉県警)で行われた薬事法違反の一斉摘発で、ED(勃起不全)治療薬や痩身薬を販売する通販会社や個人輸入代行事業者の代表など17人が逮捕された。警視庁は逮捕と併せ5事案を書類送検したが、その中には売上高35億円(11年2月期)に上る化粧品のネット販売中堅企業、オズ・インターナショナル(本社・東京都千代田区、大関和樹社長)の「64歳男性役員」も含まれていた(1337号既報)。ネットというツールを武器にこれまで成長路線を維持してきたオズ・インターナショナル。そのコンプライアンス意識とはいかようなものなのか。


警視庁によると、オズ・インターナショナル(以下、オズ)は、7~8月まで自社サイト「アイドラッグストアー」において「バイアグラ100ミリグラム(ED治療薬)」の商品名や効能、副作用を表示した上、"円高還元セール"などと標ぼうし、安価に販売する旨を表示していたことを薬事法違反(未承認医薬品の広告の禁止)に問われた。

 周知の通り、「バイアグラ」は、「25ミリグラム」「50ミリグラム」のみ、医薬品販売の認可を持つ事業者による販売が認められており、「100ミリグラム」は国内での販売が禁じられている。

 当然、個人輸入であれば「100ミリグラム」を手に入れることも可能だが、「バイアグラ」自体、数年前に規制が厳しくなり、雑誌等への広告掲載が難しくなったことから大半の事業者が市場から撤退。今では法人格を持たない個人がネットオークションなどで販売するケースが少なくない。今回の摘発も、その大半が個人、もしくは小規模な事業者による違反だった。


 未承認医薬品の個人輸入代行事業者に対する行政の見方も厳しい。

 厚生労働省は2002年、各都道府県知事宛て通知の中で、未承認医薬品の広告について「安易な個人輸入を助長する行為によって健康被害の恐れが危惧されると共に、薬事法上違法な行為である」として監視強化を要請。(1)顧客を誘引する意図が明確なこと、(2)特定医薬品等の商品名が明らかなこと、(3)一般人が認知できる状態にあることで広告と判断することを明示している。

 厚労省はオズの違反に「商品名が確認でき、ネット等で認知でき、表示するだけで厳密に言えば販売の意図があると判断されるので薬事法に抵触する恐れがある」(監視指導・麻薬対策課)としている。要は表現うんぬん以前の問題ということだ。


 オズに広告表示の管理体制を聞いたところ、「それは間違いですから。もう解決に向かっていますよ」と回答が返ってきた。

 以下、まずオズとのやり取りを振り返りたい。

 本紙:間違いというのは警視庁の発表が間違っているということですか。
 「そう。でももうそれは解決に向かっている」

 本紙:間違っているというと、書類送検がですか。
 「逮捕されていませんよ」

 本紙:確かに逮捕はされていませんが書類送検は。
 「送検されていませんよ。警視庁はどう発表しているんですか」

 本紙:御社の64歳の男性役員が送検されたと。
 「僕は65歳ですよ」

 本紙:当人でいらっしゃる。
 「はい」

 本紙:代表の方ですか。

 その後、質問に答えることなく電話は切られた(後に複数回に渡る電話で相手が大関社長であることが分かった)。が、改めて大関社長から連絡があった。

 大関社長:「あの時は頭が混乱していた。ニセ薬の問題はもっと根深い。ネット上には危険なニセ薬を扱う事業者が溢れている。今回の一斉摘発の狙いも本来はこうしたマジョリティを摘発すること。だが、こうした事業者は外国に所在地を置くなど責任追及が難しい。だからうちのように連絡先を明らかにし、まじめにやっているところが、捕まえやすいので捕まえられた」

 本紙:そのマジョリティと一緒に名を連ねてしまったことが問題なのではないか。

 大関社長:「(今回摘発されていないが)大手でも同様のことをやっているところはある」

 確かに、オズの主張にも理解できる部分はある。ネットパトロールの活用により警察が摘発を量産する一方、悪質業者はPCから容易に違法行為の事実を掴みにくいモバイルや会員専用サイトなどを使い、規制の網をすり抜けている。摘発対象の「小物化」「素人化」は、「その傾向はある」(警察関係者)と警察自ら認めるところだ。

 だが、警察の摘発傾向やネット販売業界に跋扈する悪質業者など業界が抱える問題と、企業として当然行うべき法令順守は全く別の問題。悪質事業者や個人に混じり、売上高35億円を誇る中堅企業が薬事法違反を犯した事実は重い。

 折しも、警察庁主導の下で全国的にサイバー犯罪に対する人員強化が図られている中での今回の不祥事。オズは送検の事実がネット販売業界に対する消費者の信頼失墜を招きかねないことを認識する必要があるのではないか。

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