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亘理の駅猫「クロ」、被災者癒やす

2012年02月18日

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JR亘理駅にすみ着いた猫の「クロ」を抱きかかえる森敏夫さん(右)と布田喜久雄駅長

 亘理町のJR常磐線亘理駅に東日本大震災後、人懐っこい猫がすみついた。亘理駅から南は津波にのまれて不通のままだが、猫が乗客や駅で働く被災者の心を和ませている。

 猫は黒い虎柄の雄で「クロ」と呼ばれている。「みんなに可愛がられ、駅のマスコットみたいです」と布田喜久雄駅長。飼い猫だったようで、人に慣れ、足元にまとわりついてくる。

 駅や乗客によると、クロが姿を見せ始めたのは昨年5月ごろ。不通区間の代行バスを誘導する臨時職員の詰め所ができたころだ。

 はじめはやせ細っていたクロ。被災してJRの関連会社の臨時職員として雇用された地元のイチゴ農家のほか、駅職員や乗客、タクシー運転手からも餌をもらい、体格や毛づやが良くなってきた。通学する高校生たちの人気者にもなっている。

 臨時職員15人のうち9人は仮設住宅で暮らす。元稲作農家の森敏夫さん(62)は津波で飼っていた犬と猫も失った。「クロがいないと『どこさ行った』と気になる。可愛いですよ。私たちと同じようにすむ所を失ったのかな」

 職員らはクロのために段ボールで小屋や駅長の帽子をこしらえた。クロがいない時は、詰め所の脇に「出張中です」と書いたホッキ貝の殻を置く。仮設住宅で暮らし、詰め所で働く元生鮮食品販売業の白井福治さん(55)もクロを可愛がる。「クロがいることでみんなの気持ちが和めばうれしい」(黒川和久)

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