スーパーカブ 110開発者インタビュー「デザイン開発のエピソード」

50年愛され続けたデザインを、次の世代に向けて開発するということついて。

大坪 :
スーパーカブはHondaの原点と言うお客様もおられますので、
私どもにもスーパーカブに対しては特別な思い入れがありました。
当然「変えない方がいいよ」と言う人もいれば
「変えないといけない よね」と言う意見もあり、さまざまな想いが
開発者の中にもありました。
今回のスーパーカブ 110は、エンジンや車体を大きく見直して大幅に
進化したので、外観は変わらないというのはバランスが悪いですし 、
元々スーパーカブは機能と外観がリンクしたモデルで、
「機能がある程度外観を決め、外観が機能を表す」
そういうところがあるモデルだと思っていましたので、機能に合わせて
外観のバランスを見直すという所から着手しました。
とはいっても、本当を言えば「スーパーカブらしくて新しい」と
いえるような バランスを見つけるまで、非常に苦労しました。

1958年 Super Cub C100
機能と外装のバランスについて。

大坪 :
他のモーターサイクルであればデザインが気に入ってご購入いただいて
いるお客様も多いと思いますが、スーパーカブに関しては実用的な
側面からご購入されるお客様が非常に多いと思っています。
外観だけ格好良く装飾して作ってもそれはスーパーカブではないと。
つまり機能と外観のバランスがとれている事が、
スーパーカブにとっては、 最も必要な要素だと思っているからです。

スーパーカブ 110のデザイン上でこだわったところ。

大坪 :
スーパーカブらしさを失わず、中身の進化を表現するという事に
つきます。まずは、今までのスーパーカブの磨かれた機能美や
乗車姿勢が凛としているイメージをキープしつつ、
そこに新しさの表現としてモダンな曲面などを取り入れたことで、
「新世代のスーパーカブ」を表現できたと思っています。

イラストはイメージです。実際の車両とは異なります。
新しいカブのロゴマークに込めた想い。

大坪 :
元々オリジナルのロゴマークは、親しみやすくて動きもあり、軽快な
イメージがありました。誕生当時の日本のモータリゼーションの
夜明けともいえる時代においては、「スーパーカブに対して親しみを
もっていただいて、色々なシーンで使ってもらっていただきたい」
といったお客様へのメッセージが表現されていたと思います。
50年経った今、車体デザインを見直すにあたって、これから先の
スーパーカブはどうなるのだろう?と考えた時に、今まで培ってきた
信頼と安定感を守って「これからも活躍しますよ」という
強いメッセージを表現したいと思いました。大文字の左右対称の
デザインを使って普遍性とバランスの良さを表現するために
敢えてロゴマークを変更しました。

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林 薫

スーパーカブ 110 開発責任者
林 薫(はやし かおる)

1986年入社。
東南アジア地域のカブシリーズの車体設計を長年に渡り担当。今回のスーパーカブ 110の開発責任者。

今田 典博

スーパーカブ 110 研究ブロックまとめ担当
今田 典博(いまだ のりひろ)

1983年入社。
ATVシリーズを担当。以後二輪開発においてはジャイロシリーズの完成車テストを指揮。海外赴任からの帰国後、東南アジア地域のカブシリーズの開発に携わってきた。

大坪 守

スーパーカブ 110 デザイン担当
大坪 守(おおつぼ まもる)

1983年入社
デザイナーとして勤務。
ヨーロッパ赴任を経て帰国後東南アジア地域のカブであるWaveのデザインを担当。その後カブシリーズを中心としたデザインを担当。

スーパーカブ 110 エンジン設計担当
石坂 孝史(いしざか たかし)

1984年入社
CBRシリーズの4気筒エンジンの設計を担当。
その後各国向けにスーパーカブのエンジン設計を担当し、2007年にFI化されたスーパーカブ 50ではエンジン設計を担当。