スーパーカブ 110開発者インタビュー「スーパーカブへの想い」

スーパーカブ 110の開発コンセプト

林 :
スーパーカブはHondaの独創を随所に盛り込んだモデルであって、
誕生から今日まで、性別職業を問わずさまざまなお客様に使って
いただいています。
誕生から50年もの間、環境の変化など時代の流れにあわせて、
少しずつ進化を遂げながら、研究・開発、生産・販売を続けられたと
いうことは本当に凄いことだと思います。
スーパーカブシリーズは、これまでも、そしてこれからも、
Hondaにとって重要なモデルという位置付けで考えております。

スーパーカブ「伝統」歴代モデル
スーパーカブ 110の開発コンセプト

林 :
ビジネスから、プライベートまで、幅広いお客様から
長年にわたりご愛用をいただいているスーパーカブシリーズの長兄で
あったスーパーカブ90の後継車として、「伝統と進化を併せ持つ
新時代のスーパーカブ」を目指しました。すなわち歴代モデルが
培ってきた「信頼」と時代を見据えた「先進」を融合したモデルとして
スーパーカブ 110の開発を行いました。

「進化」新しい時代に向けて変えた所とは?

林 :
今までお客様にご支持いただいた「信頼性」「耐久性」「使い勝手」と
「取り回しのよさ」が、特に挙げられると思っています。
「使い勝手」や「取り回し性」を考慮し、基本的な車格については
従来のスーパーカブを踏襲するような形で主要部の寸法、
サイズを決めています。

スーパーカブ
「進化」新しい時代に向けて変えた所とは?

林 :
今回スーパーカブ 110が大きく進化した部分は、
大きく分けると3つあります。
まず1つ目は、排気量を110ccにアップして、PGM-FI(電子制御式
燃料噴射装置)を採用したエンジンです。
PGM-FI採用によりコンピュータで燃料の噴射量とタイミングを
コントロールし、効率の良い燃焼を実現。結果、余裕のある走りと
ガソリン代が節約できるモデルに仕上げました。
2つ目は、エンジンパワーの向上に伴い、フレーム基本骨格を見直し、
しっかりとした操縦性や、乗り心地の向上を図ったこと。
そして3つ目はデザインです。誰が見てもスーパーカブだと分かる
伝統のデザインを引き継ぎつつ、機能の進化と人に優しくシンプルな
デザインの融合を目指し、「凛とした端正なイメージ」としました。

スーパーカブ 110の開発にあたって特に意識した点とは?

今田 :
まず一番に、「キビキビした走りを実現しながら、高い信頼性を
併せ持つということ」が根本にあります。
そのうえで、「使い勝手」という点においても、さまざまなお客様に
対応しながら、これまで以上に喜んでいただけるよう、試行錯誤し
仕様装備を設定しました。
スーパーカブには、さまざまなお客様がいらっしゃいます。
そして本当にいろいろなことがスーパーカブには求められています。
私たちもたくさんのお客様に乗っていただきたい・・・。
喜んで乗っていただけるモデルにするためには、
「ボディサイズは?ライディングポジションは?
どんな装備が喜ばれるんだろう?」
と、何度も何度も開発チームで話し合い、試作とテストを重ね、
仕様装備を決めました。

02 エンジン >

林 薫

スーパーカブ 110 開発責任者
林 薫(はやし かおる)

1986年入社。
東南アジア地域のカブシリーズの車体設計を長年に渡り担当。今回のスーパーカブ 110の開発責任者。

今田 典博

スーパーカブ 110 研究ブロックまとめ担当
今田 典博(いまだ のりひろ)

1983年入社。
ATVシリーズを担当。以後二輪開発においてはジャイロシリーズの完成車テストを指揮。海外赴任からの帰国後、東南アジア地域のカブシリーズの開発に携わってきた。

大坪 守

スーパーカブ 110 デザイン担当
大坪 守(おおつぼ まもる)

1983年入社
デザイナーとして勤務。
ヨーロッパ赴任を経て帰国後東南アジア地域のカブであるWaveのデザインを担当。その後カブシリーズを中心としたデザインを担当。

スーパーカブ 110 エンジン設計担当
石坂 孝史(いしざか たかし)

1984年入社
CBRシリーズの4気筒エンジンの設計を担当。
その後各国向けにスーパーカブのエンジン設計を担当し、2007年にFI化されたスーパーカブ 50ではエンジン設計を担当。