総 合

旧日本軍の財宝探しで・・・

偽米国債所持の5人が逮捕


世論調査・ 信憑性の低下、鮮明に

 チャオワリン・ラタサクシリ上院議員が先に、旧日本軍の財宝を発見したと発表し物議を醸しているが、この一週間で偽米国債を売りつけようとした容疑で五人が逮捕されたことから、財宝の存在を疑問視する見方が強まっている。

 警察当局は今月十九日、バンコク都内ウィタユ通りにある銀行で四人、また都内のホテルで一人の計五人を偽米国債を所持していた容疑で逮捕した。押収された偽米国債の一部は、チャオワリン議員が、財宝の一部だとして写真を報道陣に示したものと酷似していた。一方、大蔵省は同日、「チャオワリン議員が公開した米国債は偽物である」と公式発表している。

 今回逮捕された、シンガポール人、フィリピン人を含むこのグループは、タクシン・チナワット首相の弟、パヤップ氏に米国債を売りつけようとしたものだが、警察当局は、同氏に協力してもらい、犯人のうち四人を誘き出して逮捕した。当局の説明によれば、今月十七日、タクシン首相が、「チャオワリン議員が財宝の一部と説明した米国債は偽物の可能性がある」と警察に伝えたことから、おとり捜査に踏み切ることにしたものという。

 同グループが所持していた額面価格一億ドルの偽米国債計二百四十七枚は、七ヶ月前にタイに持ち込まれ、銀行の貸し金庫に保管されていた。  チャオワリン議員は、カンチャナブリ県のリチラ洞窟内には、旧日本軍が隠した財宝である、五百五十億ドルの米国債と、二百五十億バーツ相当の金塊が眠っていると主張していた。このうち、米国債に関しては、一九三四年に、米国中央銀行に当たる連邦制度準備理事会が発行したものと述べていた。

 しかし、スチャート・チャオウィシット副蔵相は、「米国で一般購入者向けに国債を発行するのは、連邦制度準備理事会ではなく、財務省であり、さらに一九三三年から一九三五年にかけて、そのような国債が発行された記録は残っていない」と異議を唱えている。

 一時は国民の関心を集めた〃財宝発見〃のニュースだったが、時間の経過にともない、その信憑性を疑う見方が強まっている。

 今月十九日から二十一日にかけアサンプション大学が都内在住の千二百人あまりを対象として実施した調査では、「財宝の存在を信じない」と回答した者が六五・五%。財宝に関するニュースがマスコミで取り上げられた当初、同大学の調査で、「存在を信じる」とした回答者は六四%に達していた。




[BANGKOK SHUHO]