昨今の「米国債の偽造事情」をお話ししよう
米国債は、米ドル札と共に、偽造のターゲットになることが極めて多い。米ドルが基準通貨である以上、これは宿命のようなものだ。
それに、高額額面の米国債も、実は存在する。
5億ドル額面はさすがにないが、かなりの高額額面の米国債がある。マッカーサーが連合国軍最高司令官時代に発行されたもので、あまり品質は良くない。
これを犯罪者側の論理で見ると、「本物でも印刷や紙の質が悪い」ということは、「偽造しやすい」ということだ。
実際、私も4〜5年前に、この高額額面米国債の鑑定を、あるところから依頼されたことがある。
結論から言えば偽物だったのだが、上手に古めかしく処理されており、一見、本物に見えた。「これはかなり難題だな」と何枚か調べていくと、明らかに偽とわかる、とんでもない印を見つけた。
なんと、1枚の債券の下のほうに、バーコードが入っていたのだ。マッカーサーの時代にバーコードがあるわけがない。巧妙かと思いきや、何とも間抜けな犯罪グループで、その場は笑い話で終わった。