日本サッカー協会は17日、国際親善試合のキリン・チャレンジカップで24日に大阪の長居陸上競技場でアイスランド代表と対戦する日本代表25人を発表。名古屋グランパスからはMF磯村亮太(20)が初選出された。2010年まではリーグ戦で出場機会ゼロだったが、昨季3試合連続ゴールで一躍名を挙げた男。今度はザックジャパンの新星として、日本中を驚かせる。磯村のほか、磐田のFW金園英学(23)、京都のFW久保裕也(18)、鹿島のMF柴崎岳(19)、仙台のGK林卓人(29)が初めて選ばれた。
サプライズ以外の何物でもない。グランパスでは控え。リーグ戦出場も20試合にすぎない磯村が日本代表に名前を連ねた。17日の夕方練習前には、代表選出を知ったチームメートが次々に祝福。先輩の闘莉王からは日の丸シールを練習着に貼られ、愛のある“いじり”を受けた。
磯村は「最初は冗談かと思いました。自分は五輪代表にも選ばれていないし、いろんなものを飛び越えちゃいましたね」。驚き、喜び、戸惑い。突然の大抜てきに、当の本人にもさまざまな感情が交錯していた。
経歴は華やかとは言えない。プロ入り後2年間は出場機会すら満足に与えられなかった。4年目を迎えた今キャンプでも立場は控えだが、「すごい選手が集まっているスタメン組を相手に練習ができる。自分が成長できる」と磯村。腐らず前を向いてきたからこそ、昨季の大ブレークがあり、日本代表につながった。
ユース時代からの先輩には日本代表DF吉田麻也(オランダ1部VVV)がいる。吉田の帰国時には食事をともにし、サッカーについて語り合う間柄だ。「サッカーに取り組む姿勢を一から教えてくれた先輩。早く麻也君に追いつきたいと思っていたし、そういう意味でもうれしい」。偉大な先輩との“距離”を少しは縮めることができた。
「呼ばれたからには試合に出られるようにやる。得点も狙います。同じポジションの遠藤(G大阪)さんや中村憲剛(川崎)さんのプレーを吸収したい」
ワンチャンスを生かす勝負強さは昨季の初先発初ゴールで実証済み。待望久しい次世代の日の丸を背負う司令塔へ、磯村が一歩を踏み出す。 (木村尚公)
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