原発事故によって首都圏などにも広がった放射性物質が、雨などとともに東京湾にどの程度流れ込んでいるかを調べるため、環境省は17日、東京湾に通じる隅田川と荒川で川の水や川底の泥の調査を行いました。
原発事故を受けて環境省は、これまで東北と関東の8つの県の河川で放射性物質の濃度を分析してきました。しかし、都内を流れる河川は調査対象に入っておらず、1日、東京都が「首都圏の各地から放射性物質が運ばれていると考えられる」として、東京湾や都内の川を調査するよう環境省に要請していました。
17日は、委託を受けた調査会社の調査員3人が、東京湾に通じる隅田川の河口近くにかかる両国橋の上と荒川の河川敷から、ロープに結んだバケツをつるして川の水およそ5リットルをくみ上げたほか、専用の機械を使って川底の泥およそ1キロを採取しました。
調査会社の古殿太郎主査研究員は「正確な値を出せるよう心がけて調査している」と話していました。
東京湾に流れ込む放射性物質については、国よりも先に専門家による調査が去年から行われており、近畿大学の山崎秀夫教授が、東京湾の29か所で海底の泥を調査した結果では、最も高かった旧江戸川の河口付近で1キログラム当たり872ベクレル、荒川の河口で846ベクレルの放射性セシウムが検出されています。山崎教授は「東京湾の魚の調査では、暫定基準値を大幅に下回る数値が出ており、食べても健康に影響はない」としたうえで、「今後2、3年の間は、雨や川の流れによって放射性セシウムを含んだ土が東京湾の河口に流れ込み続けると考えられる。国が数値に変化がないか定期的に調べる必要がある」と話しています。
17日に採取された水と泥は、調査会社の研究施設で放射性セシウムの濃度などを調べる検査が行われ、環境省はおよそ1か月後に結果を公表する予定です。
[関連リンク] |
|