シリーズ『社長になろうと思ったとき!』

(担当:山本大吾)

第140回 『経理の知っ得豆知識』PART2

〜小切手の豆知識!〜

  前回は『先日付小切手』について勉強しました。今回は意外と知らない小切手の取扱いについて勉強していきます。

友達「こんにちは先輩!前回相談した先日付小切手は、無事に入金されましたよ。
   とりあえずひと安心です。でも、良く考えると小切手って、どう見ても切手
   より大きいのに、なぜ小さい切手というのですかね?」         

 私 「そうかぁ。意外に知らない人が多いかもね。君がいう『切手』は郵便切手の
   ことだよね。でもそれは小切手の語源となった切手とは別ものなんだよ。じ
   ゃあ、早速勉強していこう。」                    

┌──小切手の語源────────────────────────────┐
│ 小切手の語源となった切手とは、もともと江戸時代の「切符手形」と言われる│
│一種の商品券です。この「切符手形」が略されて「切手」と呼ばれるようになり│
│ました。米と交換できる米切手などがその代表例です。その後、明治時代になっ│
│て外国から小切手の文化が入ってきました。その小切手の用紙が「切符手形」よ│
│りもずっと小さかった事から、小さい切手=小切手という名称がついたと言われ│
│ています。また、郵便切手は明治時代にお金を払って郵送の権利を得た紙片とし│
│てはじめから「郵便切手」という名称で登場しました。そして小切手以外の切符│
│手形は、商品券などに名称が変更され、郵便切手だけが残ったことから、単に切│
│手と言えば郵便切手を指すようになったのです。              │
└────────────────────────────────────┘

友達「さすが先輩!物知りですね!ついでに、小切手の取扱いで注意しておくこと
   があったら教えてもらえますか?」                  

 私 「そうだなぁ。まずは、小切手の一般的な注意点について勉強していこう。」

┌──あなたの会社の小切手は大丈夫?───────────────────┐
│1.小切手帳と印鑑は別々に保管する。                  │
│ あたりまえのことですが、小切手帳と印鑑さえあれば、いくらでも小切手を振│
│出すことができます。そのため、小切手帳と印鑑は必ず別々の場所に、別々の人│
│が保管するのが鉄則です。                        │
│2.線引小切手を利用する。                       │
│ 小切手に斜めの平行な2本線を引いた小切手を、線引小切手といいます。2本│
│線の間には『Bank』とか『銀行渡り』などと記載しているものもあります。│
│実はこの2本線が大きな効力を持っていて、この線引小切手を持って銀行へ換金│
│に行っても、すぐに支払ってはくれません。また、現金ではなく、銀行口座への│
│振込みでないと支払われないので、万一、盗難や紛失した小切手の場合は、その│
│支払いを止めるための時間が取れるとともに、もし支払われた場合でも口座を確│
│認すれば受け取った人を特定することができます。             │
└────────────────────────────────────┘

友達「我社は大丈夫ですよ。小切手帳は経理担当者が管理して、印鑑は私が別の金
   庫で保管していますから。もちろん線引小切手も使っていますよ。ただ、支
   払いの都度小切手1枚1枚に印鑑を押すのは面倒だし、経理担当者からも 
   『社長の留守に急な集金もあるので、事前に何枚か小切手に印鑑を押してお
   いてもらいたい』と言われて、だいたい10枚位ずつまとめて印鑑を押して、
   担当者に渡していますけど...。そのほうが効率的ですからね。」   

 私 「説明したことが分っていないようだね!もし、印鑑を押したその小切手が盗
   まれたらどうなる?もし、経理担当者がその小切手を悪用して口座にある全
   額を引出して、そのまま行方不明になったら会社はどうなる?いいかい、面
   倒でも会社や経理担当者を守るために、支払いの都度印鑑を押すべきだよ。」

友達「考えてみればその通りですね。担当者に説明して、その都度印鑑を押すよう
   に変更します。でも、もし本当に小切手帳が盗まれたらどうなりますか?」

 私 「印鑑が押されていない小切手帳はただの『紙』だから、盗まれたことを銀行
   に連絡して、新しい小切手帳を発行してもらえばそれで問題ないけれど、小
   切手帳と印鑑が一緒に盗まれた場合は手続きが大変だよ。」       

┌──小切手帳と印鑑が同時に盗難にあった時の手続き────────────┐
│1.銀行へ連絡する                           │
│銀行に事故届を出して支払いをストップし、併せて改印の手続きを行います。 │
│2.警察へ被害届を出す                         │
│銀行へ連絡すると同時に、警察へ被害届を出します。一刻も早く犯人を逮捕して│
│もらい、小切手が他に渡るのを防ぐことが必要だからです。         │
│3.裁判所へ公示催告の申立をする                    │
│通常は弁護士に依頼して、裁判所へ公示催告の申立てをし、除権判決の手続きを│
│行います。この手続きで盗難にあった小切手を無効にすることができます。しか│
│し、盗難にあった小切手が、盗難の事実を知らない人(善意の第三者)に渡った│
│場合には、裁判に発展することもあります。裁判事例の詳細は省略しますが、盗│
│難にあった人(振出人)は、小切手の支払いを拒否できないケースも多いようで│
│す。                                  │
└────────────────────────────────────┘

友達「えっ!手続きも大変ですし、最悪の場合、振出人は盗まれた小切手でも支払
   いを拒否できないことがあるのですか?」               

 私 「そうなんだ。小切手の取扱いを軽く考えている経営者がいるけれど、印鑑の
   押してある小切手は現金と同じだから万全の管理体制が必要だよ。」   

友達「確かに、経理は何でも効率化すればいいわけじゃあないですね。」    

 今回説明したことは小切手・手形に共通して言えることです。万一、小切手・手形が盗難、紛失した場合には、会社に大きな損害が 生じるリスクがあります。貴社の管理体制を再度見直してみてはいかがでしょう。


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