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天皇陛下入院 18日手術へ

2月17日 19時2分

天皇陛下入院 18日手術へ

天皇陛下は、「狭心症」と診断された心臓の冠動脈のバイパス手術を受けるため、17日、東京大学附属病院に入院されました。18日午前から手術を受けられる予定です。

天皇陛下は、17日午前10時すぎ、付き添いの皇后さまと共に車で皇居を出て、東京・文京区の東京大学附属病院に向かわれました。そして10時15分すぎ、病院の入院棟の玄関に到着し、出迎えた院長や担当の医師と穏やかな表情であいさつを交わしたあと、14階にある特別病室に入られました。
天皇陛下は、11日、心臓の周りを取り囲む冠動脈を詳しく調べる検査を受けた結果、1年前よりも冠動脈の狭さくがやや進んでいて「狭心症」と診断され、18日、3本ある冠動脈のうち2本でバイパス手術を受けられることになりました。医師団は「天皇陛下の将来の生活の維持とさらなる向上のため手術を行うことが適切だと判断した」と述べています。
天皇陛下は、心電図などの検査を受けたあと、18日午前9時半ごろ、手術室に入り、手術を受けられる予定です。手術は、東京大学と順天堂大学の心臓外科の専門医らによる合同医療チームが行い、全身麻酔なども含め、全体で5時間はかかる見通しですが、天皇陛下は順調に回復されれば2週間ほどで退院できるということです。
天皇陛下が入られた特別病室には、17日夜は皇后さまが付き添い、一緒に過ごされることになっています。
天皇陛下の入院に伴って、17日から当分の間、皇太子さまが国事行為を代行されます。皇太子さまは、早速、17日午後、お住まいの東宮御所で政令の改正に関する文書への署名を行われました。宮内庁によりますと、皇太子さまは雅子さまと共に手術が無事に終わるよう祈っていて、そうした気持ちを天皇陛下に伝えられたということです。
天皇陛下の手術は、18日の午後3時前後には終わる見通しで、午後6時以降に医師団が記者会見をして結果を発表することになっています。

今回の冠動脈手術

これまでの検査から、天皇陛下の心臓は3本の冠動脈のうち、左から体の裏側に回り込む「回旋枝」という血管が一部で75%から90%近く狭くなっていることが分かっています。また、左から下に向かう「前下行枝」という血管も、一部で75%前後狭くなっているということです。
今回のバイパス手術は、これら2本の冠動脈の狭くなった部分をう回するように血管をつなぎ合わせ、心臓の隅々まで血液が行き渡るようにするものです。
胸の中を通る左右2本の「内胸動脈」と呼ばれる太さ2ミリ前後の血管を切って、冠動脈の2か所に縫いつける計画です。
手術は全身に麻酔をかけて行われ、体の負担を小さくするため、人工心肺装置を使わず、心臓を動かしたままで行われる予定だということです。
冠動脈のバイパス手術は、平成21年に全国で1万6000件以上行われた一般的な心臓手術です。
日本冠動脈外科学会によりますと、あらかじめ予定した冠動脈バイパス単独の手術のうち65%は心臓を動かしたまま行われたということです。また、手術を受けた人の半数近くが70歳以上で10人に1人は80歳以上の高齢者だったということです。
手術成績は着実に向上していて、人工心肺装置を使わないで行った場合に限ると、手術後1か月以内の死亡率はおととしの時点で0.53%だったということです。
医師団は順調に回復されれば、2週間程度で退院できる見通しだとしています。