午前9時40分ごろに父親の乗用車で工場にやって来たS容疑者は、駐車場に車を止めた直後、作業の準備をしていた3人に向けて10発を発砲した。銃弾が右腕を貫通した男性は「荷物をトラックに載せる作業をしていた時に撃たれた。5分ほど前に犯人が工場の前に立っている姿を見たが、まさか猟銃を発砲するとは思わなかった」と証言した。
犯行後、S容疑者は工場近くにある瑞山インターチェンジ(IC)から西海岸高速道路に入り、ソウル方面に向かって逃走した。
唐津IC付近でS容疑者の車を発見した警察と高速道路巡察隊は、5台のパトカーでおよそ20キロにわたり追跡した。S容疑者は逃走中も3回発砲し、うち1発はパトカーのフロントガラスに命中してガラスが割れた。この際、近くを走行していた大型トレーラーが状況を察知し、逃走車の進路を遮って警察を支援したという。
警察は西海大橋を過ぎた付近で5回にわたり逃走車に体当たりして停車させ、スタンガンを発射しS容疑者の身柄を取り押さえた。S容疑者は逃走中に発砲した直後、農薬を飲んで自殺を図ったが、命に別状はなかった。警察はS容疑者と死亡した元同僚との関係について詳しく調べる方針だ。
警察の取り調べによると、S容疑者は昨年9月に知人に送った電子メールで「高校3年の時にいじめに遭った。あの時のつらい思いは今も忘れられない。その影響で重い精神疾患を患い、13年間も苦しんできた。酒の席でも周囲の人となじめない」などとつづっていたという。