(CNN) 記録的な寒波により多数の死者が出ているウクライナで、凍死者の大半がアルコールを飲んでいたことが分かり、専門家などが注意を呼び掛けている。
非常事態相は8日、10人中9人の死亡にアルコールが絡んでいたと説明。同国では過去2週間で少なくとも135人の死亡が報告されているが、寒波による死者の数は実際には112人にとどまるとした。
首都キエフは8日まで24日連続で氷点下の気温が続いている。市内に暮らすホームレスは約1万4000人。現地の医師によると、アルコールが一因となって凍傷や低体温症などの症状を引き起こす人が多く、死に至る場合もある。
欧州国際赤十字の広報は「アルコールは体が温まったような錯覚を起こす」と話し、この状態で意識をなくすと低体温症にかかりやすくなると指摘。「食事をしたり温かい飲料を飲んだりした方が、ウォッカよりもずっといい」と呼びかけている。
赤十字は地元の当局と連携して飲み過ぎをやめさせ、衣類や温かい食事などを届けているが、「自分が大きな危険に瀕していることを分かっていない人たちもいる」(赤十字広報)と危機感を募らせる。
米国立衛生研究所の専門家によれば、アルコールを飲むと皮膚の血管が膨張して血流量が増えることから体が温まったように感じるが、暖かい服装をしていないと熱が急速に失われ、低体温症を引き起こすという。酔うと判断力が失われ、転んで意識を失ったりそのまま眠ってしまう恐れもあると警告している。