ＮＨＫも誤字幕　謝罪もあいまい

　ＮＨＫ松山放送局が１６日、朝のローカルニュース番組「おはようえひめ」の放送中に、「窃盗の疑い　愛媛大学教授逮捕」と事実と異なる字幕を流し、騒動になっていたことが分かった。番組内での謝罪もあいまいで、愛媛大学長からの抗議の電話を受け、初めて責任者が大学側に出向いて謝罪する不手際もあった。テレビ番組内での字幕やテロップを巡る騒動は、昨夏に東海テレビ（名古屋市）でも発生している。

　民放で起きたことが、ＮＨＫでも起きてしまった。午前７時４８分、ＮＨＫ松山放送局がサイクリングイベントを伝えるニュースを放送中、画面に「窃盗の疑い　愛媛大学教授逮捕」という字幕が流れた。その後、アナウンサーが「ニュースの内容とは全く関係のない字幕が表示されました」と謝罪したが、事実関係の訂正は説明されなかった。結果、騒動が広がった。

　愛媛大学広報担当によると、放送直後から、職員から字幕について「逮捕は事実なのか」などの問い合わせが複数あったという。午前中に同局に問い合わせ、逮捕が事実ではなかったことが判明。午前１０時４０分ごろ、あらためて学長が電話し、放送局長に抗議した。ようやく事態を重くみた同局側はその後、放送局長と放送部長が大学に出向いて、学長に頭を下げたという。また、午後０時１５分からのニュース番組で、問題となった字幕について、「事実ではないことをはっきりおわびさせていただきます」と訂正した。

　テレビ番組のテロップや字幕を巡っては、昨年８月に、東海テレビの情報番組で「怪しいお米セシウムさん」などとテロップが流れ、番組が打ち切りになる騒動も発生している。その際、他のテレビ局でも同様の事故が起きる危険性が指摘されていたが、ＮＨＫ松山放送局は今回、誤字幕が流れた原因について、夜間緊急対応の訓練用の字幕や、練習用の字幕が、番組担当者の確認漏れで流された可能性があるとみて調べている。

　字幕やテロップに関しては、複数の担当者がおり、誤字幕に関わった個人の特定が難しい状況としたが、同局は「不適切なテロップを訓練用に使わないことなどを含めて、２度とこのようなことのないように、経緯を調査する」とした。愛媛大を含め、一般の視聴者から問い合わせや抗議のメール、電話も届いており、同局は「ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ない」とコメントしている。

　◆東海テレビテロップ騒動　昨年８月４日、東海テレビの情報番組「ぴーかんテレビ」が、視聴者プレゼントの岩手県産ひとめぼれ１０キロの当選者として「怪しいお米セシウムさん」などの架空の名前を約２３秒間、テロップ表示。直後に番組内で謝罪、訂正したが、岩手県やＪＡ岩手県中央会などから１万件以上の抗議が殺到する騒動になった。その後、ＣＭ提供をしていたスポンサー２０社中１７社が提供を見合わせ、番組は打ち切り。同局は会長、社長を含む役員、番組制作関係者ら計８人に対し、報酬減や降格などの処分を下した。

　［2012年2月17日8時14分　紙面から］