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【芸能・社会】

淡島千景さん死去 87歳 「夫婦善哉」など映画史に足跡

2012年2月17日 紙面から

代表作の「夫婦善哉」(55年、(C)東宝)。右は森繁久弥さん

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 「夫婦善哉(めおとぜんざい)」などの映画をはじめ舞台、テレビでも幅広く活躍した俳優の淡島千景(あわしま・ちかげ、本名中川慶子=なかがわ・けいこ)さんが16日午前9時40分、膵臓(すいぞう)がんのため東京都目黒区の病院で死去した。87歳。東京都出身。

 宝塚歌劇の娘役で活躍後、松竹に入社。1950年に渋谷実監督の「てんやわんや」で映画デビュー。スピーディーで軽やかな演技が評判となり「自由学校」「本日休診」などの風刺喜劇で、新しいタイプのスターの座を確立した。

 「麦秋」(小津安二郎監督)、「君の名は」(大庭秀雄監督)などでキャリアを伸ばし、55年に森繁久弥さんと共演した「夫婦善哉」(豊田四郎監督)の芸者役で大女優へ踏み出した。ぐうたらな男を母性的に見つめる女性を演じ、高く評価された。

 森繁さんとは「駅前」シリーズなどでも共演し、コメディエンヌとしても活躍。59年には2人で「自由劇団」を結成して舞台にも進出した。

 知的な美貌で色気を漂わせる女性像を得意にした初期から、映画「にごりえ」(今井正監督)「鰯雲(いわしぐも)」(成瀬巳喜男監督)などでシリアスな演技にも実力を見せ、毎日映画コンクール賞などを受けた。出演映画は約200本に上る。

 テレビでもNHK大河ドラマ第1作「花の生涯」(63年)や、長谷川一夫と共演した「半七捕物帖」など多彩に活躍。晩年は映画「夏の庭」「GOING WEST 西へ…」や、NHK連続テレビ小説「春よ、来い」などで老境の女性を好演。2010年には映画「春との旅」に出演した。

 1956年に菊池寛賞。88年紫綬褒章、95年勲四等宝冠章を受章。

◆大和田伸也「信じられない」

 俳優の大和田伸也(64)が16日、東京・麹町のアクターズクリニックで、出演舞台「HIKOBAE」(梶原涼晴演出)の製作発表に出席、亡くなった淡島さんついて「信じられません」と涙を浮かべた。

 大和田は、会見後に関係者からふ報を聞かされたのか、動揺して報道陣の前に現れ「本当ですか?」と問い掛けて絶句。淡島さんと舞台「細雪」で長く共演し、公私にわたって親しくしていたそうで、顔を手で覆って涙。「芸に厳しい、いなせな女優さん。人の悪口を言わない、すてきな大先輩だった」と話した。

 「HIKOBAE」は、東日本大震災の被災地・福島県相馬市を舞台に市民らの闘いを描く作品。主演は鈴木亮平(28)、水谷豊(59)と伊藤蘭(57)夫妻の一人娘・趣里(21)が初舞台を踏む。3月11日のニューヨーク公演ほか、同20日に天王洲銀河劇場、同31日に相馬市のはまなす館で上演される。

◆仲代達矢「痛切の念に堪えない」

 俳優仲代達矢(79)は、次のようなコメントを発表した。

 非常に驚いております。思い返せば、「人間の条件」でご一緒して以来、最後の共演になった「春との旅」まで、セリフ術のしっかりした腕のある見事な演技力は、他の映画スターの追随を許さないものでした。私の尊敬する先輩、高峰秀子さんに続いてまた一人の大先輩が亡くなったことは、映画人として痛切の念に堪えません。今でも思い出すのは「春との旅」でのセリフです。

 「いつまでも、肝っ玉姉ちゃんでいてくれよな」という忠男に答えて「当たり前じゃないの、そんなこと」。

 明るい淡島さんの声が思い出されます。

◆あまりにうまい演技

 俳優の司葉子(77)の話 「夫婦善哉」で共演したとき淡島千景さんの演技があまりにうまいので、まだ映画に出始めたばかりだった私は、女優をやめようかと思ったくらいでした。女優として長くたくさん、幅広く活躍された方。尊敬していた大先輩でした。

◆葬儀日程

 ▼通夜 25日午後6時から

 ▼葬儀・告別式 26日午前11時から

 ▼会場 護国寺・桂昌殿(東京都文京区大塚5の40の1、(電)03−3941−0764)

 ▼喪主 甥・中川徹也(なかがわ・てつや)氏

 

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