放射能の危険については、お医者さんよりは、一般の人のほうが自覚しているもしれません。
お医者さんは、放射線を診断、治療に使っていますし、高線量でない限り、安全だとの気持ちはあるのでしょう。
そうでなくても、放射能の健康への影響というのは、早く影響の出る子供でも発症するまでに数年かかりますし、大人であれば数十年かかることもあります。
被曝した時期と発症の時期が離れているため、直接の影響では無いと思いがちです。
放射能の影響がすべての人に一律に出ないことも、お医者さんの判断を難しくしています。
たとえ大人でも、人によっては数年で影響が出る人がいるのは、原発現場で働き、被曝して血液のガンになった方がいることからわかります。
このように世代で発症までの経過時間にばらつきがあったり、同じ世代で同じ線量なのに発症する人がいたり、いなかったりというのも、放射能の直接の影響を見えにくくさせています。
化学物質の健康への長期的影響については、東大の児玉先生でさえ、1980年ごろにアスベストの害が騒がれたときにアスベストの害についての自覚はあまり無かったそうです。
ところが、2000年から自分のよく知った患者さんでアスベスト被害のあった方に悪性中皮腫の症状が見つかってはじめてアスベストの害を自覚できたのだそうです。
直接関係のある人に被害が出るまでは、化学物質や放射能の長期的影響は軽視しがちです。
お医者さんも日々の目前の病気の治療に忙しく、長期の影響に頭を回す暇も無いでしょう。
アスベストの被害は、まだ肺の稀な病気に集中しているので、わかりやすいのですが、放射能はその影響と言われる病気そのものも放射能の影響を無視しても発病する病気なので、判断が難しいです。
一部のお医者さんで放射能などの長期の健康への影響を研究されている方もいますが、あまり収入に結び付きませんし、どうしても少数派になってしまいます。
そして、少数派だから、危険性を訴えても無視されるということになります。
2012年02月16日
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