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福島第1原発:紛争解決センター 解決たった5件

 東京電力福島第1原発事故の被災者と東電の賠償問題を仲介する「原子力損害賠償紛争解決センター」が16日に新たな基準を示したのは、遅れている個々の和解手続きを促進させる狙いがある。これまでの手続きでは、東電側の消極的な姿勢が際立っていた一方、前例のない原発事故で和解に慎重にならざるをえないセンター側の事情もあった。

 今回の原発事故の賠償は、被災者と東電の直接交渉が不調に終わった場合、センターに申し立てをする仕組み。弁護士の仲介委員が双方の言い分を調べて和解案を出す。9月の受け付け開始から今月15日までの半年余りで948件の申し立てがあったが、和解に至ったのは5件で0.5%に過ぎない。

 センターは9~12月の状況を分析した報告書も公表し、東電について「認否留保が多く、積極的な審理促進の態度があまりみられない」と指摘。中間指針に個別に明記されていない損害賠償の請求に対し、消極的な態度をとり続けてきたという。

 一方、センター自身の対応についても「一つの事案の処理が先例となることから審理に慎重を期した」として「長期化」への反省点を示した。9~12月の申立件数521件を見ると、約8割が個人、約2割が法人。弁護士がついているのは全体の約2割で、請求の内容や事実関係の確認に時間がかかっている。

 賠償の対象者は約150万人で、今後は申し立てが数万件に上る可能性もある。【木村健二】

毎日新聞 2012年2月16日 21時22分(最終更新 2月16日 22時45分)

 

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