東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 茨城 > 2月14日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【茨城】

福島の実態 切々と 荒木田岳・福島大准教授が東海村で講演

講演した福島大准教授の荒木田岳さん=東海村で

写真

 茨城大出身で福島大准教授(行政政策学類)の荒木田岳さん(42)が12日、東海村内で講演し、福島第一原発事故が地域社会に及ぼした深刻な問題について体験を交えて報告した。 (井上靖史)

 荒木田さんは福島市内で家族と暮らす。復興に向けてやる気のある人は周りに多いと感じる一方で、地域の亀裂は深刻に映る。

 行政が公表する線量に疑問を抱いて荒木田さんが計測していると「やめろ。必要ない」と住民に制止されたことがあった。

 県外へ避難した人は戻ってきても「逃げた人」とレッテルを貼られ、「がんばろう福島、と言っても一つになれない」と吐露した。こうした実態を県内で指摘すると、研究室に嫌がらせの電話が何本も掛かってきたことも明かした。

 食品についても「(風評被害などで)他県で売れない福島産の野菜や牛乳を福島で消費せざるを得なくなっている。給食で子供も食べている」と説明。地元では「地産地消、がんばろう福島」のキャッチフレーズが使われているという。

 福島県では一部地域を除いて放射線量の数値に問題はないとされるが、県内の医師が百人以上も自主避難したとの報道もあり、県民は不安を抱えながら過ごす。その上で荒木田さんは「まだ原発を動かそうなんて福島を人ごとにしか思っていないのではないか。東海村は、ぜひ原発事故を他山の石に」と訴えた。

 講演は村と茨城大共催の公開講座「原子力施設と地域社会」の中であった。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo