今回は短い話になります
会話文メインなのでお許しを……。
伊織とテコンドーの使い手の仕合いを眺める人物がいた。
「(ほう…アレを防ぎなお且つ折るとは…)」
攻防一体の伊織の動きに感嘆している。
「(はて、あの少年どこか見覚えがあるんじゃがのう……)」
伊織を見つめるその人物は老人だった。しかしただの老人ではなく、その身から歳をまったく感じさせない程の濃密な気を纏っている。
目の前で繰り広げられた仕合いの主役二人に賛辞を送りながら近づいていった。
「いい仕合いじゃった」
昔聞いたことのある声。幼い頃に感じたことのある雰囲気。記憶に残っている人物の名は……。
「……鉄心さん!!」
伊織たちに話しかけた人物は、武神の名を我がモノとし引退してなお世界が恐れる川神鉄心その人だった。
振り向いた伊織の顔には満面の笑みが貼りついている。鉄心は溢れるようなその笑顔に見覚えがあった
「もしや伊織君かの?」
「お久しぶりです。覚えていてくれたのですね!」
「久しいのう。立ち話もなんじゃから、川神院に来なさい。そこにいる御仁も川神院が責任を持って面倒をみよう」
男は川神院に運ばれ丁重に看病されることになった。
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《川神院》それは武術の総本山と言われている。世界各地の自分の腕に自身のある武芸者がその看板を奪いにくることも珍しくはない。伊織と戦った男もその一人だったが、目の前に現われた兵と戦わずにはいられなかったのだ。
「ほれ、これでも飲みなさい」
鉄心に出された温かいお茶を口に運ぶ。一年程とはいえ世界を飛び回っていた伊織にとって久々に日本で飲むお茶だった。
「やはり日本で飲むお茶が一番ですね」
「その口ぶりから察するに、どこか海外にいたのかのう?」
伊織は祖父の家を出てからの経緯を全て話した。
「それは大変じゃったろう。…伊織君が引っ越して百代は悲しんでおったよ」
そう幼少期に伊織を救った人物は鉄心の孫娘・川神百代だった。
「自分が悪いのですけどね。僕自身も悲しかったです…百代さんはいますか?」
苦笑いをしたあと一瞬顔に影が出来た伊織だったが、すぐに元の表情に戻り尋ねた。
「モモのやつは学園の友人たちと遊びに出ているんじゃよ。帰ってきたら伝えるとしよう。それはそうと今は何か武術をしているみたいじゃが……」
鉄心は先程目にした伊織の動きから武術に通じていることがわかっていた。
「ありがとうございます。……あれから僕は――――
―――説明中。
それで今は“陸奥”伊織と名乗っています」
“陸奥圓明流”は時代の影に生きてきた古武術だったが、伊織の祖父『陸奥九十九』が世界相手に喧嘩を売り、結果を残したことによってその名を轟かせていた。時が経つにつれ忘れる者もいたが、鉄心には覚えがあった。
「いつもモモの後ろをついて回っていた泣き虫坊主が、あの“陸奥”の後継者とは驚いたわい」
「僕自身が一番驚いていますよ」
鉄心の言葉に本心で応える伊織。誰かに助けられるしかなかった幼少期の自分を思うと恥ずかしい気持にもなった。
「ほっほっほ。この後何か用事でもあるかのう?なければ道場に着いてきてはくれぬか?」
「得に用事はないので行きます」
伊織はそう言うと湯呑みに残っていたお茶を飲み干すと立ち上がった。
「それはよかった。ルーも喜ぶじゃろう」
「ルーさんも居るのですか?懐かしいなぁ」
ルーという名を聞いた伊織の顔はおもちゃをもらった子供のような表情になっている。
鉄心の思惑を知らない伊織は終始浮かれた様子で道場に向かっていった。
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道場には何十人もの川神院の門下生・修行僧が鍛錬に励んでいた。年齢は上から下まで幅広く、女性の姿も見受けられる。
その中でも一際目立つ存在がいた。繰り出される拳は目にも止まらぬ速度で打ちだされ、振るわれる脚は空気を切り裂いている。その動きからはレベルの高さ、圧倒的な実力の片鱗が垣間見ることができた。
「ルーよ少しよいかのう」
「ハイ。何でしょうか総代?……あれ君は?」
ルーは鉄心の後ろに隠れるようにいる体の少年に見覚えがあった。
「お久しぶりですルーさん。昔、小さい頃に何度かお世話になったことのある伊織です」
「おおー、覚えているヨ!懐かしいネ!あれからどうしていたんだい?」
「ルーよ、今からこの伊織君の戦いを見たいのじゃがよいか?」
鉄心の言葉を聞いたルーの顔が一瞬変わる。
「伊織君とですカ?たしかに見るかぎり強いとは思いますが……」
そこまで言ったルーは言い淀んだ。目の前にいる少年からはたしかに強さが伝わってくる。しかし体が小さく、まだ力もないだろうと思ったからだ。それに今、道場内にいる者達は川神院の中でも強い部類に入る。
「まだまだ修行が足りんのう。伊織君はあの“陸奥圓明流”の使い手。見てみたいとは思わぬか?」
「“陸奥”ですカ、実際に見たことはないですが名前は聞いた事があります。ワタシもまだまだですネ…興味がわきました。少々お待ちヲ……」
そう言うとルーは一度この場から離れた。
「勝手に話を進めてしまって悪いが、かったかの?」
「見せるほどのものではないですが、お茶の御礼にやらせていただきます」
伊織は一度脱いだ武道着に着替え始めた。
祖父が若き頃に幾多の強豪たちと死闘を繰り広げ、血や汗が沁み込んだ大切な道着に袖を通す。
口調などに違和感がのこりますが…。
もしココ直せ!って思う箇所があればご指摘ください
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