【テヘラン鵜塚健】イランのアフマディネジャド大統領は15日、核開発分野で進展があったと発表した。ウラン濃縮の時間を短縮できる新型遠心分離機を開発し、国産の核燃料棒を初めて研究炉に装塡(そうてん)したと強調した。イランは米欧の新経済制裁で国際的な孤立を深めており、核開発の成果アピールには米欧を揺さぶる狙いと、制裁下で不満を強める国民に「強いイラン」を演出する思惑があるとみられる。
イラン国営テレビによると、「第4世代」とされる新型遠心分離機は炭素繊維製で、ウラン濃縮能力が従来型よりも3倍高いとされる。濃縮技術が核兵器開発へ応用されることを懸念する米欧やイスラエルが反発を強める可能性がある。
また、国営テレビによると、イラン政府は中部ナタンツの核施設で20%に濃縮したウランを使って核燃料棒を製造。大統領立ち会いの下、燃料棒をテヘランの研究炉に初めて装塡した。研究炉稼働は「医療用アイソトープ(放射性同位体)の生産が目的」(イラン原子力庁)としている。
一方、イランメディアによると、イラン政府は15日、欧州連合(EU)のアシュトン外務・安全保障政策上級代表に書簡を送り、核協議再開の意向を伝えた。具体的な協議内容や日程も記されているという。ただし、核開発を進める一方で協議再開を呼びかけるイランのメッセージを米欧が前向きに受け取る可能性は低い。
イランが核開発の進展を強調する背景には国内事情もある。相次ぐ制裁で経済が疲弊し、国民の不満が高まる中、政府は強力な国家像を示す必要がある。また、反大統領派との権力闘争の渦中にある大統領は「力強い指導者」を印象づけ、3月の国会議員選挙での大統領派の勢力回復や、来年6月の大統領選での側近への権力継承を有利に進めたい考えとみられる。
毎日新聞 2012年2月16日 10時19分(最終更新 2月16日 11時56分)