大阪市は、結核罹患(りかん)率が全国一高い西成区・あいりん地区での治療や予防策の一環として、日雇い労働者ら向けの巡回検診や訪問診療の際に、食券や弁当を支給して受診を促す対策の検討に入った。
大阪市の人口10万人あたりの結核罹患率は政令指定市で最悪の2010年で47.4人。あいりん地区は同516.7人で、国平均の28倍に達する。市は月に3回、同地区で日雇い労働者やホームレスを対象に、結核の無料検診を実施。だが対象者約3万人のうち、受診者は年間延べ約3500人(2010年度)にとどまっているという。
橋下徹市長は、西成区に市外から転入する子育て世帯向けに市税の減免などをする「西成特区構想」を打ち出し、結核対策にも最優先で取り組むよう指示。その後、受診率向上に向けて「1回500円程度の食券の配布」を担当部局に提案した。結核の原因として指摘される栄養不足対策も兼ねたアイデアとみられるが、担当者は「食券では換金されてしまう恐れもある」として、同額程度の弁当の支給も検討している。