溶接工たち、高額年収夢見て渡豪するも…

 昨年4月、溶接工のAさん(51)は1億ウォン(約700万円)以上の年収を保障するという溶接学校の言葉を信じ、オーストラリアに渡った。Aさんは学校に教育費や業務費、海外就職手数料などの名目で4100万ウォン(約290万円)を支払った。

 だが、オーストラリアの実情は全く違った。Aさんは韓国では大企業の溶接工として働き、平均5000万ウォン(約350万円)の年収を得ていたが、同国での年収は3220万ウォン(約224万円)と、オーストラリア政府が定めた溶接工の最低年収(3200万ウォン=約223万円)水準にすぎなかった。さらに、就職した会社が不渡りを出したため、Aさんは4カ月分の月給をもらえなかった。

 Aさんのように、多額の年収を目当てに就職あっせん料など数千万ウォン(1000万ウォン=約70万円)を払いオーストラリアに向かったものの、仕事を見つけられず苦労している溶接工が増えている。いずれも京畿道水原市のある溶接学校に入学し、オーストラリアへ向かった。同国西部のパースだけでも40人ほどの韓国人溶接工がいるという。

 海外就職をサポートする韓国産業人力公団によると、同学校の宣伝とは異なり、オーストラリアで溶接の職を探すのは容易なことではない。溶接の実力や各種溶接資格に加え、TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)800点以上の英語力が必須となる。公団関係者は「オーストラリア政府が韓国人溶接工の同国での就職を要請しているのは事実だが、両国で求められる溶接の技術が異なる上、言葉の壁が高いため、実際に就職したケースはごくわずかだ」と話している。

ソク・ナムジュン記者
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